園内作業道整備に伴うカンキツ園地及び樹体の把握手法

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要約

本手法は傾斜地カンキツ園園内道樹体などの分布状況を、写真地図から園地利用分類図を作成し、表示・計測する方法である。園地傾斜が7°~29°の傾斜地園では、作業道の面積は20%、樹冠は37%~52%を占める。

  • 担当:四国農業試験場・総合研究部・総合研究第1チーム
  • 連絡先:0877-62-0800
  • 部会名:傾斜地農業
  • 専門:農村整備
  • 対象:果樹類
  • 分類:指導

背景・ねらい

傾斜地カンキツ園地では園地整備が急速に進んでおり、地形に応じた園内作業道の配置や生産に及ぼす影響を検討するために、園地の利用図を作成し、道路、樹冠の占有率を的確に計測して把握することが必要である。

成果の内容・特徴

  • 園内道分布の把握には、園地上空のステレオ写真を撮影し、正射投影写真地図(図1)を作成した上で、園地利用分類図(図2)を作成する。この作成手順は、1実体視可能な一対の上空写真を撮影し、その写真画像をスキャナーで読み込み、データファイルを作成する、2地図・画像処理ソフトで正射投影の写真地図を合成する、3写真地図の色調パターンを基に樹冠・園内道などの園地利用分類図を作成する、からなる。
  • 園地の土地利用状態をを樹冠、連絡道、作業道などに分類して表すには、1画像の色調サンプル入力による画像ピクセルの自動抽出、または、2分類境界の判読による境界線の描画により行うことができる。
  • 園地の傾斜が7~29°からなるカンキツ園 では、作業道の占有面積は17~24%を示し、樹冠の占有面積は37~52%の範囲にある。(表1)。このことから、急傾斜地において園内道を整備した場合、園内道の占める割合は20%程度で、少なくとも約40%~50%の樹冠面積が確保されている。

成果の活用面・留意点

  • 園地整備に伴うカンキツ生産に与える影響についての検討が可能となる。
  • 未整備園については園内道配置の具体例が提示される。園内道からの流出雨水や方面からの侵食土砂の集中が生じないように、園内道の配置と貯水槽などの設置を検討する必要がある。
  • 解析に用いた空中写真は、対地高度100~150mで撮影されたものである。また、正射投影写真地図の解像度は、300~400dpiである。
  • 本手法の詳細は、CDーROM版及び冊子体の技術マニュアルでも提供される。

具体的データ

図1.正射投影写真地図図2.園地利用分類図

 

表1.園内道設置園における園地概況

その他

  • 研究課題名:傾斜地大規模のカンキツ作における快適省力・高品質システムの確立
    (園地整備技術、機械化技術の定着条件の解明)
  • 予算区分:実用化促進(地域総合)
  • 研究期間:平成9年度(平成7~9年)
  • 研究担当者:山本 博、宮崎昌宏、長谷川美典、中尾誠司、高辻豊二
  • 発表論文等:山本 博、宮崎昌宏、長谷川美典、急傾斜カンキツ園における園内道の分布と配置計画、日本地形学連合秋季大会発表、1997