プロベナゾールによるタバコモザイクウイルスに対する抵抗性の誘導

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要約

殺菌剤プロベナゾールとその代謝産物であるサッカリンタバコモザイクウイルス感染に対する全身獲得抵抗性をタバコに誘導する。

  • 担当:四国農業試験場・作物開発部・病虫害研究室
  • 連絡先:0877-62-0800
  • 部会名:生産環境(病害虫)
  • 専門:作物病害
  • 対象:工芸作物
  • 分類:研究

背景・ねらい

殺菌剤プロベナゾールは糸状菌や細菌に対する全身獲得抵抗性を誘導することが知られている。サリチル酸などの他の誘導剤は糸状菌や細菌ばかりでなくウイルスに対する抵抗性も誘導することが知られているが、プロベナゾールについてはウイルス感染に対する効果に関する報告はない。そこで、本剤とその代謝産物であるサッカリンのタバコモザイクウイルス(TMV)による病斑形成に及ぼす影響について調べる。

成果の内容・特徴

  • プロベナゾールないしサッカリンを局部病斑形成宿主であるタバコ品種‘Xanthi nc’に処理した場合、両剤とも抵抗性誘導の指標である局部病斑の大きさを減少させる(表1)。サッカリンとサリチル酸ソーダ両剤を同一のタバコ個体に処理すると病斑の大きさは極めて減少する。
  • ブロベナゾールとサッカリン両剤共に、処理した‘Xanthi nc’では無処理のものに比較してTMVによる局部病斑の出現が早まる(表2)。
  • プロベナゾールを処理した全身感染宿主であるタバコ品種‘Samsun’ではTMVによるモザイク症状のマスキングを促進する(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 全身獲得抵抗性を利用した菌類病・ウイルス病同時防除技術開発の参考になる。

具体的データ

表1.薬剤処理のTMV局部病斑の大きさに対する影響

 

表2.薬剤処理のTMVによる局部病斑数の増加に対する影響

 

表3.プロベナゾール処理によるタバコモザイク症状の各葉位における発病度

その他

  • 研究課題名:感染特異的(PR)タンパク質の分離および機能解析
  • 予算区分:経常・重点基礎
  • 研究期間:平成9年度(平成7年~9年)
  • 研究担当者:小金澤碩城、笹谷孝英、佐藤豊三
  • 発表論文等:Effects of Probenazole and Saccharin on the Sympton Appearance in Tobacco by Tobacco Mosaic Virus、日植病報 64巻2号、80~84、1998。