四国地域におけるヤーコンの栽培適地
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要約
ヤーコンを四国平坦地で栽培すると、高温期に新葉の伸長不良や成葉の枯れ上がりなどの高温障害が発生し、塊根収量が極めて低い。夏期に比較的冷涼な中山間地帯では高温障書の発生は軽微で、塊根の品質ならびに収量が平坦地に比べ格段に優れ、温度条件から見たヤーコンの栽培適地である。
- 担当:四国農業試験場・作物開発部・野菜花き研究室
- 連絡先:0877-62-0800
- 部会名野菜・花き・茶、水田・畑作
- 専門:栽培
- 対象:根菜類
- 分類:指導
背景・ねらい
健康志向からオリゴ糖が機能性糖類として注目され、これを多量に含むヤーコンは天然フラクトオリゴ糖原料作物あるいは機能性に富んだ根菜として栽培化が試みられている。しかし、ヤーコンは新導入作物であることから生育特性についての知見が乏しく、栽培適地が明らかでなかった。
成果の内容・特徴
- 四国平坦地(善通寺)でヤーコンを栽培すると、高温期に新葉の伸長不良、成葉の枯れ上がりなどの高温障害が観察される。最大葉長と旬別平均気温と比較すると、梅雨明けの頃、気温が25°C前後に達した頃から下部の成葉が枯れ始めて最大葉長が減少し、盛夏 期を経過して気温が25°C以下に下がると新葉の伸長により最大葉長が増加することが認められることから、生育適温の上限は25°C前後と推察される(図1)。
- 高温障害回避の可能性を検討するため、夏期に25°C以上の高温になることが少ない中山間中標高園場(標高500m前後)数カ所で試験栽培を行った。いずれの試験地でも高温障害は軽微であり、ヤーコンは順調に生育する(図2)。
- 中山間地の塊根収量は平坦地の3~7倍に達し、裂根の発生もほとんどないことから、高温障害の回避できる中山間中標高地は、温度条件から見たヤーコン栽培の適地であると判断される(表1、2)。
成果の活用面・留意点
- 本成果に供試したヤーコンの系統は‘SY11’と‘SY107’(四国農試導入系統)である。
- 標高(気温)以外に土壌の違い、特に、土壌水分、土壌孔隙、地温等による根の活性阻害がヤーコンの高温障害及び生育・収量に大きく関与するものと考えられるが、今後の課題である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:ヤーコンの機能性糖類生産機能向上技術の開発
- 予算区分:大型別枠(新需要創出)
- 研究期間:平成9年度(平成6~9年)
- 研究担当者:亀野 貞、藤野雅丈、中西建夫、竹崎あかね、川嶋浩樹、森 昭憲
- 発表論文等:
ヤーコンの生育特性およびフラクトオリゴ糖含量、園芸学会雑誌、65巻別冊2、1996
中山間地におけるヤーコンの生育と収量、日本作物学会記事四国支部報告、1998(予定)