中山間地域の乾田不耕起直播圃場における浸透抑制の効果予測
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要約
傾斜地水田整備モデルの地形出力は中山間地域の乾田不耕起直播圃場における浸透抑制の効果予測に効率的に用いることができる。大規模有限要素モデルを用いた解析結果には、各種の浸透抑制に対応した減水深の変化が表れている。
- 担当:四国農業試験場・地域基盤研究部・地域防災研究室
- 連絡先:0877-62-0800
- 部会名:傾斜地農業
- 専門:農村整備
- 対象:農業工学
- 分類:研究
背景・ねらい
水稲栽培様式は,従来の標準化された移植体系から多様な様式に分化しつつある。栽培様式の多様化に対して
、水田整備に求められるほ場条件を単一の整備手法で
対応することは難しい。このため、今後開発・普及が予測される新たな水稲栽培様式に対応した水田計画手法
を開発する。すなわち、乾田不耕起直播圃場におけ
る地下水動態を効率的に予測する手法を開発する。また、この手法を用いて各種畦畔浸透抑制法の評価を行う
。
成果の内容・特徴
- 中山間地域における乾田不耕起直播栽培導入圃場の調査結果をもとにして、傾斜地水田整備―有限要素
モデルを用い、各種浸透抑制工法を評価する手法を開発した。自動発生により、要素数約19000の高密度データが
効率的に処理できる(
図1
,
2
)。
- 浸透抑制のための改良処理として、1畦塗りのみ(Case1)、2畦塗り及び畦畔周辺の代かき(Case2)、
3畔塗り及び畦畔周辺のベントナイト置換(Case3)を想定し、4改良処理を行わない場合(Case4)も併せて浸透
解析を実施し、各種浸透抑制法の効果予測を行う(
図3
)。各ゾーンの物性の変化に対応した現実的な評価が可能となる。
- 減水深評価結果には、各種の浸透抑制に対応した減水深の変化が現れている。現地圃場では、畔塗りの
みを行い、代かき・ベントナイト置換等を行っておらず(Case1に対応)、この場合には未改良の作土部に浸透
水が集中するので注意が必要である(
表1
)。
成果の活用面・留意点
用いる座標データ(x、y、z)は有限要素メッシュの密度から、5~10cm程度の精度が必要となる。現時点でこ
の精度が確実に得られる方法として現地での光波距離計を用いた地形測量を実施しているが、今後、より簡易
なデータ取得手法の検討が必要である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:(水稲栽培様式の多様化に対応した水田整備計画手法の確立)、地すべり地防災・活用型対
策技術の開発、
- 予算区分:(次世代稲作)、経常
- 研究期間:(平成8~9年度)、平成10年度
- 研究担当者:川本治・細川雅敏・中尾誠司
- 発表論文等:川本治・細川雅俊・中尾誠司:中山間地域の乾田不耕起直播圃場における浸透抑制について
、第53回農土学会中国四国支部講演会講演要旨,P109~110 (1998)
川本治・細川雅敏・中尾誠司・山内稔:中山間地域の乾田不耕起圃場における浸透水動態、第52回農土学
会中国四国支部講演会講演要旨、p.262-264(1997)