ホテイアオイと草魚の組み合わせによるため池浄化の可能性
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要約
ため池の水質浄化に利用されるホテイアオイは初期投入量0.2~0.3kg/m2に対して0.02~0.03尾/m2程度の草魚を放流することにより、ホテイアオイによるため池浄化法の過繁茂・後処理などの問題に対処し得る可能性がある。
- 担当:四国農業試験場・地域基盤研究部・基盤整備研究室
- 連絡先:0877-62-0800
- 部会名:傾斜地農業
- 専門:農村整備
- 対象:農業工学
- 分類:研究
背景・ねらい
香川県においては古くから数多くのため池があり農業用水源として今も大きな役割を果たしているが、昨今
その水質の悪化が大きな問題となっている。
その簡便な対策としてホテイアオイを用いる浄化法が進められることが多いが、この場合、ホテイアオイの
過繁茂や後処理が問題であり、これを制御する方法の一つとして、ホテイアオイと草魚を組み合わせる方法の可能性について検討した。
成果の内容・特徴
- 試験場内の貯水池(試験池)においてホテイアオイの成長を追跡した結果、その成長を示す
増殖率は0.0245である。
このときの栽培条件は以下の通りである。池の条件 10×12m 水深
約1.3m
水温変化、降雨量、水質は
図-1
に示す。
ホテイアオイの植栽 7月1日 W0=70kg (約0.6kg/m2)
草魚の放流 開花終了成長停止後10月1日
重さ700~800gの草魚4尾
- 2. 別の水槽で求めた重さ700~800gの草魚のホテイアオイ採食率は約180g/日である。
- 3.
初期ホテイアオイ重、増殖率、採食率をパラメータとして求めたホテイアオイの成長は、実測したものと
おおむね近似する(
図-1
)。
- 4.
ホテイアオイ生育期間中におけるNo3-, Cl-, SO42
-,
K+, NH4+等のイオン濃度は低下する。
- 5.以上のパラメータを用いて、ホテイアオイの標準的な初期植栽量(0.2、0.3kg/m2)から推
定した草魚の適切な放流数は、4月に植栽した場合は3~4尾程度(0.025~0.03尾/m2)、7
月の植栽では3尾(0.025尾/m2)程度である。
図-2 試験池におけるホテイアオイの成長
図-3 ホテイアオイ重変化と草魚放流数の関係の試算結果
成果の活用面・留意点
本成果は、ホテイアオイと草魚の組み合わせをため池浄化に利用する可能性を示すものであり、実用化にあ
たっては季節性、個々のため池の水質の違い等を検討する必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:中山間地域のほ場及びその周辺施設の整備技術の開発
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成6年度~平成10年度
- 研究担当者:内田晴夫・井上久義・細川雅敏
- 発表論文等:内田晴夫、「満濃池・香川用水掛かりの溜池の水質」農業土木学会誌 第66巻1号、69 ~74
ページ,1998年1月
内田晴夫、「丸亀平野の溜池の水質分析」四国農試ニュース、P.2、No.77、1998年8月