実肥による小麦子実たん白含量の向上

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要約

小麦子実たん白含量は、出穂10日後の実肥窒素施用で増加させられる。たん白含量の増加量は、実肥窒素1kg/10a当たり0.4~0.6%である。目標たん白含量を達成するには、例年のたん白含量との差等から実肥窒素施用量を決める。

  • 担当:中国農業試験場・作物開発部・麦育種研究室
  • 連絡先:0849-23-4100
  • 部会名:作物生産(育種・栽培)
  • 専門:栽培
  • 対象:麦類
  • 分類:普及

背景・ねらい

温暖地西部産小麦は、主としてめん用に利用されているが、地域によっては子実たん白含量が8~9%と低 いため、めん用として適正な10~11%に向上させる施肥技術の確立が求められている。そのため、出穂後追肥 によるたん白含量向上技術の確立を図った。

成果の内容・特徴

  • 実肥施用時期は、稈の伸長が停止し、穂数が確定する出穂10日後とする。
  • たん白含量は、実肥窒素の施用量に応じて、ほぼ直線的に増加する。
  • 一次回帰式から求めた実肥窒素1kg/10a当たりのたん白含量の増加量は、0.4~0.6%で、品種系統・ 年次間に有意差はない。
  • 実肥により成熟期はやや遅れ、リットル重は増大するが、外観品質は低下する。
  • 実肥による子実重、千粒重、倒伏への影響は小さい(データ略)。
  • 実肥によりバロリメーター値(生地物性)が向上し、めん用としてより適したものになる。

成果の活用面・留意点

  • 本成果を、近畿・中国地域の低たん白小麦生産地帯に適用し、普及を図る。
  • 例年の小麦のたん白含量は、品種・産地単位で把握されており、これを基準として品種別の実肥窒素 施用量を決める。
  • 本成果は、気象条件に比較的恵まれ、収量レベルが比較的高い福山市の灰色低地土で得られたもので あり、実際の適用にあたっては、地域の気象、特に降水量、土壌条件及び平年の収量レベル等に留意し、窒素 施用量を決定する。

その他

  • 研究課題名 : 小麦の晩期追肥による高品質化技術の確立
  • 予算区分 : 経常
  • 研究期間 : 平成10年度(平成8~9年)
  • 担当:研究担当者 : 高山敏之、長嶺敬、田谷省三
  • 発表論文等 : 平成10年7月新聞記者発表