30%減肥下のスイカの生育反応と接ぎ木による変化

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要約

自根栽培で減肥するとスイカの生育、一果重、グルタミン酸含量は低下する。接ぎ木することでこれらの低下は改善されるとともに、糖度の低下も見られない。接ぎ木により収量、品質を低下させずに、施肥量を30%減らすことが可能である。

  • 担当:中国農業試験場・畑地利用部・野菜栽培研究室
  • 連絡先:0773-42-9905
  • 部会名:野菜・花き(野菜)
  • 専門:栽培
  • 対象:果菜類
  • 分類:指導

背景・ねらい

スイカ栽培では、一般的に土壌病害の回避や低温伸長性付与等を目的として、接木栽培がなされている。接 ぎ木栽培に用いられる台木品種には、この他に、吸 肥特性の優れる品種もある。そこで、吸肥性の旺盛な台木品種を利用して、収量・品質を低下させることなく 、施肥量を減らせる栽培技術を確立する。

成果の内容・特徴

  • 2果着果で生育は抑制され、4本側枝で旺盛になる。また、減肥で生育は抑制され、接ぎ木で旺盛になる。
  • 茎葉1株当たりの窒素含量は、窒素含有率よりも乾物重を反映し、生育と同じ傾向を示す。
  • 一果重は生育と同じ傾向を示し、2果着果で小さくなり、4本側枝で大きくなる。また、減肥で小さ くなり、接ぎ木で大きくなる。
  • 糖度は2果着果で低下し、4本側枝で上昇する。減肥と接ぎ木による影響は見られない。
  • 呈味成分として重要な因子といわれる遊離アミノ酸の中で、最も含量の多いグルタミン酸は、2果着 果で減少し、4本側枝で増加する。また、減肥で減少し、接ぎ木で大きく増加する。

成果の活用面・留意点

  • 接ぎ木栽培に減肥という新たな効用を付加することが出来る。
  • ユウガオ台を初め、吸肥性の旺盛な台木品種を用いる必要がある。
  • 無被覆栽培では降雨による肥料成分の溶脱により著しい減収を招く恐れがある。

その他

  • 研究課題名 : 果菜類の品質成分形成機構と制御技術の確立
  • 予算区分 : 一般別枠〔物質循環〕
  • 研究期間 : 平成10年度(平成4~10年)
  • 担当:研究担当者 : 荒木陽一、村上健二、井上昭司、岩波 壽
  • 発表論文等 : 施肥量低減条件下のスイカの生育反応と接ぎ木による変化、園学雑、68巻2号、229、1999.