濃厚飼料中に含まれる肉用牛の採食を促進する化学物質の分離
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要約
配合飼料から抽出したエーテル可溶性物質は肉用牛に対し強い採食促進作用を示し、この物質を酸性、中性と塩基性物質に分離した結果、酸性物質と中性物質が促進作用を示した。この酸性物質を液体クロマトグラフにより分離すると、一定の画分に促進物質が溶出される。
- 担当:中国農業試験場・畜産部・栄養生理研究室
- 連絡先:08548-2-0144
- 部会名:畜産
- 専門:飼育管理
- 対象:肉用牛
- 分類:研究
背景・ねらい
地域において入手しやすく、あまり利用されていない飼料資源を利用して肉用牛の飼養管理を行うためには
、牛の採食を促進する技術を開発する必要がある。
牛の採食を促進している要因の一つとして、飼料中に含まれる味物質やにおい物質が考えられるが、ほとんど
研究の蓄積がない。そこで、牛の採食性の良いこと
が知られている濃厚飼料中から、これらの採食促進物質の分離を行なった。
成果の内容・特徴
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2種類の有機溶媒を用い、4種類の濃厚飼料から化学物質を抽出した。この化学物質を含む抽出液を添
加した乾草と無添加の乾草を、一頭の黒毛和種成雌
牛(合計6頭)の前に置き10分間自由に採食させ、採食量を測定し、化学物質の採食促進作用を検定した。
その結果、揮発性物質を多く含むエーテル抽出物で
は、穀類主体の配合飼料が他の単味飼料より強い促進作用を示した。難揮発性物質を多く含むメタノール抽出
物では、脱脂大豆のみ促進作用を示した。
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配合飼料のエーテル抽出物を、酸性、中性と塩基性の物質に分離した。その結果、酸性と中性物
質(配合飼料130gから分離)が牛の採食に対し促進作用を示した。
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配合飼料から分離されたエーテル可溶な酸性物質を、さらに液体クロマトグラフを用い促進物質
の分離を行った。クロマトグラフに用いた溶出液
は、ペンタンとジエチルエーテルの組成が異なる4種類の(ペンタン:エーテル=100:0,90:10,
75:25,0:100)溶出液を用い、4個の画
分に分離した。ペンタン:エーテル=75:25の組成の溶出液により分離された画分(配合飼料600gか
ら分離)が、採食促進作用を示した。
成果の活用面・留意点
- 肉用牛の採食を促進する化学物質の基礎的な知見として利用できる。
- 中性物質については、現在のところ液体クロマトグラフによる分離は行っていない。
その他
- 研究課題名 : 飼料中に含まれる肉用牛の採食促進物質の解明
- 予算区分 : 経常
- 研究期間 : 平成10年度(平成9~10年)
- 担当:研究担当者 : 土肥宏志・小迫孝実・林義朗