園内作業道舗装とマルチ栽培に伴う傾斜カンキツ園の降雨流出変化
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要約
傾斜カンキツ園の園内作業道を舗装し、畑面にマルチ資材を敷設することにより、園地からの降雨流出量は3割程度増大する。園地整備により10mm程度の小規模降雨に対しても降雨流出が生起しやすくなる。
- 担当:四国農業試験場・総合研究部・総合研究第1チーム
- 連絡先:0877-62-0800
- 部会名:傾斜地農業、果樹
- 専門:農地整備
- 対象:果樹類
- 対象:研究
背景・ねらい
四国中山間傾斜地カンキツ園では、近年、園内作業道整備が急速に進んできている。また、高品質果実を生産するためのマルチ栽培面積も広がりつつある。園内作業道の生コン舗装や畑面へのマルチ資材の敷設により、降雨の非浸透域が拡大されるため、降雨流出水は増加する。しかし、これらの現象については、これまで経験的に示されることが多く、定量的に把握された事例は少ない。そこで、雨量・流出水量の現地観測データから、園地内の作業道整備やマルチ敷設が降雨流出に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 観測現地は、香川県西部の和泉砂岩系土質地帯に立地する傾斜カンキツ園で、集水域面積は約15aである。1998年6月~1999年11月の間、一雨ごとに雨量および流出水量を観測した。1999年4月、園の未舗装作業道の一部を生コン舗装(面積率11%)し、その後5月、8月および9月にマルチ栽培のためプラスチック製のマルチ資材(面積率21%)を敷設した(図1)。1998年6月~1999年4月を整備前、それ以降を整備後として降雨流出率などの水文量を比較する。
- 整備後の降雨流出量は整備前の3割程度増加する(図2、図3)。
- 整備前では、一雨雨量15mm程度までの降雨は流出せず集水域に留まる(雨水保留)が、整備後はその値が10mm前後となる。整備後はより小規模な降雨に対しても降雨流出が生起する(図3)。
成果の活用面・留意点
- 園内作業道整備園やマルチ栽培園の排水対策および水利用計画立案上の基礎資料として利用できる。
- 本成果は、上述した土質のカンキツ園において得られたものであり、他の土質流域への適用には注意を要する。1.本取水法は、園内作業道整備園における雨水利用技術として適用する。
具体的データ



その他
- 研究課題名:高品質化のための土壌管理技術を導入した中山間カンキツ園の軽作業システムの確立-傾斜地園の水環境制御技術の開発-
- 予算区分:総合研究(地域総合)
- 研究期間:平成11年度(平成10~13年)
- 研究担当者:中尾誠司、吉川弘恭、長谷川美典
- 発表論文等:なし