電動小形軟弱葉菜類収穫機

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要約

適期収穫により、軟弱葉菜類収穫機(SH-963) と同程度の損傷発生でホウレンソウの収穫が可能であると同時に、調製機構を備え、電動・小形化による取り扱い性を改善した新たな軟弱葉菜類収穫機(ELH-991)である。

  • 担当:中国農業試験場・作物開発部・機械化研究室
  • 連絡先:0849-23-4100
  • 部会名:作物生産(機械・施設)
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械
  • 分類:研究

背景・ねらい

平成8年度に開発した「軟弱葉菜類収穫機」は、市販の門型4輪運搬車を走行台車として作製していたため、機体サイズ・質量、枕地旋回時の操作性、栽培様式の制限などの点で改良が必要と考えられた。そこで、その後開発された調製機構を備え、かつ小形で取り扱い性の改善された収穫機を開発する。

成果の内容・特徴

  • 本機は、平成8年度の本成果情報で報告した「軟弱葉菜類収穫機(SH-963)」、及び本年度報告の「軟弱葉菜類収穫機の調製機構」を基にして、小形化・取り扱い性向上を第一目標として新たに製作した一輪式一条刈りの軟弱葉菜類収穫機(ELH-991)である。12Vバッテリを搭載し、DCモータにより走行、収穫物の搬送・調製を行う(図1、表1)。
  • 一輪式前面一条刈り構造により走行路が不要となり、多様な栽培様式に対応できる。
  • 収穫を行う掘り取り部、搬送部、収納部の基本構造は、SH-963と同一である。
  • 調製部は、収穫物の搬送中に、対向回転する1組の円盤刃で掘り取り後の冗長な根を切断する根調製切断機構と、対向回転する1組の円筒状ブラシで株元に付着した土や下葉を除去する下葉除去機構から構成される。また、搬送ベルトに対する調製部の高さ位置の調節は、カラーセンサを用いた株元検出による自動制御が可能である。
  • 定置調製試験において、根調製切断機構は80%の株の根を約20mmの長さに切断できる(図2左)。また、下葉除去機構は下葉の57%を除去できる(図2右)。一方、過除去は、1株あたり0.1枚未満である。
  • 適期収穫したホウレンソウの損傷状況は、葉茎枚数単位で評価した調製後損傷率が約13.4%となり、SH-963の平均12.8%と同程度である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • ホウレンソウやコマツナなどの草姿が立性となる軟弱葉菜の機械収穫に使用できる。
  • ホウレンソウ収穫時の損傷発生を抑えるためには、条間の葉のからみ合いができるだけ少なくなるように栽培管理し、適期に収穫する必要がある。

具体的データ

図1.ELH-991の外観

 

表1.ELH-991の主要諸元

 

図2.定置試験における調製性能調査試験

 

表2.収穫調査結果例

その他

  • 研究課題名:葉菜類の機械収穫・調製作業技術の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(平成9~12年)
  • 研究担当者:吉田智一、土屋史紀、亀井雅浩、前岡邦彦、石田茂樹
  • 発表論文等:軟弱葉菜類収穫技術の開発(第4報)、第59回農機講要、135-136、2000.