ELISAによる土壌からの根こぶ病菌休眠胞子の検出
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要約
根こぶ病菌汚染土壌から,ELISAにより風乾土壌1g当たり103 ~104 個まで根こぶ病菌休眠胞子の検出が可能である。
- 担当:中国農業試験場・地域基盤研究部・上席研究官
- 連絡先:0849-23-4100
- 部会名:生産環境(病害虫)
- 専門:作物病害
- 対象:葉茎菜類
- 分類:研究
背景・ねらい
ELISAにより,土壌中の根こぶ病菌休眠胞子濃度を簡便かつ,高い精度で検査・診断する方法を開発する。
成果の内容・特徴
- 近畿中国地域の代表的な水田,畑地土壌10種類に根こぶ病菌を接種し,カブを連作して根こぶ病菌に高濃度に汚染された土壌(休眠胞子濃度107 ~108 個/風乾土壌1g)を作成し,ELISA(間接法)による根こぶ病菌休眠胞子検出の試料とした(表1)。
- 汚染土壌からの休眠胞子の分離は高橋・山口(1988)の方法が簡便かつ良好な結果が得られる。分離液はELISAのコーティング緩衝液で希釈して検体とする(図1)。
- ELISAの手法は検体を直接マイクロタイタープレートに固相化する方法が効果的であり,抗血清処理などを含む一連の作業を4~6°Cの低温で長時間行うことにより,検出精度が高まり非特異反応を抑えることができる(表2)。
- 本法による休眠胞子の検出精度は,風乾土壌1g当たり休眠胞子濃度103 ~104 個まで可能である。ELISAの吸光値と休眠胞子濃度の間には概ね正の相関関係が認められる。健全土壌では全く反応が認められない(図2)。
成果の活用面・留意点
- 検体中に有機物,粘土粒子など夾雑物が多いと測定値が低下するため,土壌は予め篩分け,遠心分離を行い,これらを出来るだけ除去しておく。
- 病土に10倍量,100倍量の健全土壌を混合して休眠胞子を分離・検出する方法でも上述4の場合と同等の検出精度が得られる。しかし,この場合には休眠胞子濃度と吸光度の間に相関関係が認められない場合や,非特異反応が認められる場合がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:酵素免疫検定法による根こぶ病菌の土壌診断法の開発
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成11年度(平成10~11年)
- 研究担当者:山本孝し
- 発表論文等:ELISAによる土壌からの根こぶ病菌休眠胞子の検出(講要)、日本植物病理学会関西部会大会発表