カンキツ果実に含まれる血小板リポキシゲナーゼ阻害成分

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要約

ポンカン果実には、循環器系疾患やアレルギー性疾患に関与する血小板12-リポキシゲナーゼを強く阻害する成分が含まれている。その中の2成分は4位と5位がカフェ酸およびフェルラ酸で置換されたキナ酸誘導体である。

  • 担当:中国農業試験場・作物開発部・品質特性研究室
  • 連絡先:0849-23-4100
  • 部会名:流通利用
  • 専門:食品品質
  • 対象:果樹類
  • 分類:研究

背景・ねらい

カンキツ類の国内生産量は消費の伸び悩みによる市場価格の低迷もあり、近年著しく減少している。このため、カンキツ果実の新たな需要を開拓することが急務である。カンキツ果実はフラボノイド、カロチノイド、テルペノイドなど多様な生理活性物質を含有していることが知られている。 そこで、カンキツ類の新たな用途の開拓を図るため、生理機能性の高いカンキツを探索し、機能性成分を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ポンカン、シュウトウ、ヤツシロ、コウジは、リポキシゲナーゼ阻害効果が高い。
  • 上記のうち最も商品性の高いポンカン果実に含まれる有効成分は果実全体に分布している(表1)。
  • 阻害成分は水、メタノール、エタノール等の極性の高い溶媒で抽出できる。
  • 阻害成分の構造は、4位と5位がカフェ酸およびフェルラ酸で置換されたキナ酸誘導体である(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 構造を明らかにした2成分の生理機能については、動物実験等でさらに研究を行う必要がある。
  • 加工法を改良することにより、機能成分を多く含む果汁の製造が期待される。

具体的データ

表1.血小板リポキシゲナーゼに対するポンカン果実の部位別抽出物の阻害効果

 

図1.ポンカン果皮から単離した血小板リポキシゲナーゼ阻害物質の構造

その他

  • 研究課題名:カンキツ類のフラボノイド・リモノイドの機能性評価
  • 予算区分 :大型別枠[新需要創出]
  • 研究期間 :平成11年度(平成6~9年)
  • 研究担当者:野方洋一、楠本憲一
  • 発表論文等:
    • Screening for inhibitory activity of Citrus fruit extracts against plaTelet cyclooxygenase and lipoxygenase, J. Agric. Food Chem. 44、725-729、1996.
    • 「アラキドン酸代謝酵素阻害剤とその製造法」(特第2732504、平成9年12月26日)
    • 「フェニルプロパノイド配糖体及びその用途」特許公開中(特開平10-286071、平成10年10月27日)