生牛糞を用いた張りシバ法による棚田法面の裸地修復法
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要約
棚田放牧地における畦畔法面の裸地修復法として,生牛糞を用いた張りシバ法を開発した。修復には市販のシバ苗を用いた。シバ苗の定着は良好で,苗の脱落もみられない。
- 担当:中国農業試験場・総合研究部・総合研究第2チーム、畜産部・草地飼料作物研究室
- 連絡先:08548-2-0144
- 部会名:畜産
- 専門:生態
- 対象:野草類
- 分類:指導
背景・ねらい
中国中山間地域では,耕作放棄された棚田の畜産的利用が望まれている。しかし,棚田に特徴的な斜面長の長い畦畔法面は,傾斜角が45度前後と急なため,放牧の導入に伴って裸地が発生しやすい。そこで,畦畔法面の裸地修復法として,生牛糞を用いた張りシバ法について検討する。
成果の内容・特徴
- 作業の時期は,降雨がある程度見込まれ,シバ苗の活着が期待できる6~7月が望ましい。作業に先立ち,修復地点の表面に浮いている表土や石を除去し,法面下部に堆積した土砂を踏み固めて整地する。
- 修復に市販のシバ苗(30cm×37cmの苗が9枚1束の状態で販売されている)を使用する場合,張り付け作業は図1に示した手順で行う。張り付け密度は2分割したシバ苗1枚/m2で十分と考えられるが,修復を速めたい場合は密度を上げる。
- 2分割したシバ苗1枚を張り付けるためには,生糞350g,乾土50g,水150gが必要である。その混合物に木酢液(市販品)を1cc添加すると生糞の臭気は著しく軽減する。苗を竹串等で固定する必要はほとんどない。
- シバ苗の定着は張り付け面の傾斜角に関わらず概ね良好(図2)で,苗の脱落もみられない。修復地点を電気牧柵などで囲って養生すれば,翌春から放牧利用が可能になる。
成果の活用面・留意点
- 棚田の畦畔法面ばかりでなく,一般の裸地修復にも応用が可能。
- 作業後に無降雨の状態が2週間以上続くとシバ苗の損耗が激しくなる。
- 修復に用いるシバ苗の種類は,入手の容易さ,放牧条件下における安定性および永続性の観点から,ノシバ(Zoysia japonica Steud.)苗が望ましい。
具体的データ



その他
- 研究課題名:放牧利用による遊休農林地の保全的管理・利用技術の開発
- 予算区分:地域総合
- 研究期間:平成11年度(平成10~14年)
- 研究担当者:井出保行,小山信明,斎藤誠司,高橋佳孝,佐藤節郎