ビタミンE投与および長期肥育した黒毛和種去勢牛の5筋肉の肉色安定性
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要約
黒毛和種去勢牛にビタミンE投与を行うと主要5筋肉の貯蔵中の変色が抑えられる。また、肥育期間が10ヶ月長くなると半腱様筋および胸最長筋の貯蔵中の変色が速くなるが、他の筋肉では変色する速さは変わらない。
- 担当:中国農業試験場・畜産部・産肉利用研究室
- 連絡先:08548-2-0144
- 部会名:畜産
- 専門:加工利用
- 対象:肉用牛
- 分類:研究
背景・ねらい
肥育牛にビタミンEを投与すると貯蔵中の胸最長筋および半腱様筋の変色(劣化)が抑えられることが知られているが、他の筋肉については検討されていない。また、肥育期間の違いと貯蔵中の肉色安定性との関係も検討されていない。そこで、ビタミンE投与および肥育期間の違いが貯蔵中の主要5筋肉の肉色安定性に及ぼす影響を検討する。
成果の内容・特徴
- 黒毛和種去勢肥育牛にビタミンE製剤(4,000mg dl-α-トコフェロール/頭/日)を屠殺前の28日間経口投与すると、消費者が購買意欲をなくすメトミオグロビン割合(30から40%)に到達するまでの日数が主要5筋肉で遅くなり、貯蔵中の筋肉の変色が抑えられるが、特に半腱様筋には顕著な効果が認められる(図1)。
- 黒毛和種去勢牛の肥育期間を10ヶ月延長すると半腱様筋および胸最長筋のメトミオグロビンの形成が速くなり、貯蔵中のこれら2筋肉の変色が速くなるが、他の筋肉では肥育期間を延長しても変色する速さは変わらない(図1)。
- 腹鋸筋および胸最長筋では肥育期間の長期化によって筋肉中のビタミンE含量が増加するが、他の筋肉では筋肉中のビタミンE含量は変わらない(図2)。また、ビタミンE製剤の投与により主要5筋肉のビタミンE含量が増加する(図2)。
成果の活用面・留意点
- 肥育牛へのビタミンE投与は主要5筋肉(腹鋸筋、大腰筋、中殿筋、半腱様筋および胸最長筋)の貯蔵中における変色を抑える有効な技術である。
- 肥育期間の長期化により胸最長筋のビタミンE含量は増加するが、貯蔵中の変色が速くなるため、長期間の肥育には注意が必要である。
- 肥育は濃厚飼料および粗飼料の自由採食で行ったことに留意する。
- 筋肉中のビタミンE濃度と肉色安定性との関係は筋肉の種類によって異なることに留意する必要がある。
具体的データ


その他
- 研究課題名:牛肉品質向上のための飼料機能性成分投与と筋線維型の関係
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成11年度(平成9~11年)
- 研究担当者:村元隆行、相川勝弘、柴田昌宏
- 発表論文等:屠殺月齢と肉色安定性との関係、第95回日本畜産学会大会講演要旨、144、1999.