コメツブツメクサが春期のシバ草地の生産性に及ぼす影響

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要約

シバ草地において早春に出現するコメツブツメクサは、重要な飼料源になるとともに、シバの乾物生産量を高めることから、春期におけるシバ草地の生産性向上に貢献する。

  • 担当:中国農業試験場・畜産部・草地飼料作物研究室
  • 連絡先:08548-2-0144
  • 部会名:畜産
  • 専門:生態
  • 対象:野草類
  • 分類:研究

背景・ねらい

低投入で持続的に利用管理されるシバ草地において、窒素を固定し、家畜の栄養バランス改善に寄与するマメ科植物は重要である。そこで、シバ草地に出現するマメ科植物、コメツブツメクサがシバ草地の生産性に及ぼす影響を検討した。

成果の内容・特徴

  • シバ草地においてシバの生産量が高まるのは5月以降である。コメツブツメクサは、シバの生産量が低い早春期に高い生産量を示す(図1)。
  • シバ草地における放牧牛の採食草はシバが主体になるが、シバの生産量が低い時期は、放牧牛の全採食草に占めるコメツブツメクサの割合が高い(図2)。
  • シバとコメツブツメクサが混生する時期、コメツブツメクサと混生することにより、シバの窒素含有率および乾物生産量は高まる(表1)。コメツブツメクサが固定した窒素による効果と考えられる。
  • 以上、コメツブツメクサは春期の重要な飼料源になるとともに、シバの乾物生産量を高めることから、春期におけるシバ草地の生産性向上に貢献する。

成果の活用面・留意点

  • シバ草地を放牧利用する際の基礎資料となる。
  • コメツブツメクサの出現および生産量に及ぼす土壌、気象等条件の影響については検討が必要である。

具体的データ

図1.シバ草地の生産量の推移(場内草地、3年平均)図2.放牧牛の採食草の構成割合(場外草地・1999年)

 

表1.シバの窒素含有率、乾物生産量の比較(場内草地・1997年)

その他

  • 研究課題名:シバ型草地の持続的生産に及ぼすマメ科植物の役割評価
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(平成8~11年)
  • 研究担当者:斎藤誠司、高橋佳孝、井出保行、佐藤節郎