巨大胚水稲品種「はいみのり」に適した育苗資材と播種量
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要約
巨大胚水稲品種「はいみのり」の育苗では、もみがら成型マットを使用し、播種量を270g/箱とすることで、苗丈、苗立数、苗マット強度の点から機械移植に適 した苗マットが得られる。
- 担当:中国農業試験場・作物開発部・栽培生理研究室
- 連絡先:0849-23-4100
- 部会名:作物生産(育種・栽培)
- 専門:栽培
- 対象:稲類
- 分類:指導
背景・ねらい
巨大胚水稲品種「はいみのり」は、玄米を水に浸漬後、血圧降下作用等のあるγーアミノ酪酸含有量が通常品種の4倍程度になるため、健康食品素材として注目されている。しかし、「はいみのり」は出芽・苗立ちが悪いため、苗マット強度が弱く機械移植栽培上の問題となっている。そこで、機械移植に適する「はいみのり」苗マットが得られる育苗方法を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 「はいみのり」の苗立率、出芽率は育苗資材および播種量の影響を受けない(表1)。「はいみのり」の苗立率は「ヒノヒカリ」より大きく劣る。
- 苗丈は乳苗用ロックウールマットともみがら成型マットが育苗培土より長く、200g播種区は270g播種区より長い(表1)。
- もみがら成型マットを用いた「はいみのり」の苗マット強度は4.5kgfで、育苗培土での2.3kgfの約2倍である。苗マット強度は乳苗では4.8kgfあれば苗取り板が不要という報告があり、2.8kgfが基準とされている。200g播種区と270g播種区では「はいみのり」の苗マット強度に差がない(図1)。
- もみがら成型マット使用の場合、苗立数は播種量270g/箱では5000本/箱、播種量200g/箱はで2800本/箱になるので(表1と千籾重より計算)、慣行の中苗の苗立数4000-5000本/箱を確保するためには播種量は270g/箱がよい。
成果の活用面・留意点
- この結果は、昼間25°C・12時間、夜間15°C・12時間の自然光型ファイトトロンで、肥料入り覆土、硫安5g/箱2回追肥、29日間育苗の条件で得られたものである。
- 「はいみのり」はカビが生えやすいので種子ともみがら成型マットの殺菌は必ず行う。
具体的データ


その他
- 研究課題名:巨大胚水稲の安定栽培法に関する研究
- 予算区分 :経常研究期間 :平成12年度(平成12年度)
- 研究担当者:白土宏之、大平陽一、高梨純一