種子消毒剤と併用した拮抗細菌CAB-02水和剤の防除効果
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要約
CAB-02水和剤とトリフルミゾール、ペフラゾエート、チウラム・ベノミル水和剤を併用しても、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病に対するCAB-02水和剤の防除効果および、ばか苗病に対する種子消毒剤の防除効果は維持される。
- 担当:中国農業試験場地域基盤研究部病害研究室
- 連絡先:0849-23-4100
- 部会名:生産環境(病害虫)
- 専門:作物病害
- 対象:稲類
- 分類:研究
背景・ねらい
中国農業試験場で分離した拮抗細菌CAB-02は催芽時および播種時にイネもみに処理することで、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病を防除することができる。しかし、CAB-02はいもち病、ばか苗病などの糸状菌による病害には効果が低く、他の糸状菌専用の種子消毒剤で防除することが必要である。CAB-02水和剤と他の種子消毒剤との併用による防除効果への影響について検討する。
成果の内容・特徴
- 糸状菌病専用の種子消毒剤であるトリフルミゾール、ペフラゾエート、チウラム・ベノミル水和剤の懸濁液にCAB-02を5×107 cfu/ml になるように混合しても、24時間後までのCAB-02菌濃度に変化は見られない(図1)。
- 上記3種の種子消毒剤で浸漬処理したもみを1010 cfu/ml の濃度に調製したCAB-02菌懸濁液に浸漬し、素寒天培地上に播種したところ、3日目の各処理もみにおいて106 cfu/seed 以上のCAB-02が存在しており、種子消毒剤の影響は認められない(図2)。
- 種子消毒剤とCAB-02水和剤を種子に処理する方法として、浸種前に種子消毒剤とCAB-02水和剤の混合液に浸漬処理する方法と、種子消毒剤で浸漬処理した種子を4日間浸種し、播種直前にCAB-02水和剤を湿粉衣する方法を比較したところ、イネもみ枯細菌病、苗立枯細菌病に対して、CAB-02水和剤の防除効果はトリフルミゾール、ペフラゾエート、チウラム・ベノミル水和剤のいずれにおいても、処理方法に関わらず、高い防除効果を示す(表1)。
- ばか苗病に対しても種子消毒剤とCAB-02水和剤を併用したものは種子消毒剤単独で処理したものと比較して防除効果は維持される(表1)。
- したがって、これら3種の種子消毒剤とCAB-02水和剤は相互に影響しない。
成果の活用面・留意点
- CAB-02水和剤は農薬登録申請中である。
- 水和剤以外の剤型の種子消毒剤とCAB-02水和剤の併用については検討していない。
具体的データ


その他
- 研究課題名:拮抗微生物活用によるもみ枯細菌病防除を核とした病害の総合防除技術の確立
- 予算区分 :持続的農業
- 研究期間 :平成12年度(平成11~13年)
- 研究担当者:井上博喜、宮川久義
- 発表論文等:育苗時に使用する農薬と併用したときのイネ細菌病に対する拮抗細菌CAB-02の防除効果(講要)、
日本植物病理学会報、66巻2号、p188、2000.