画像解析による細菌の運動性解析
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要約
画像解析を利用して、土壌中で実際に細菌が生息している条件に近い試料である土壌溶液中の細菌の運動性を解析することにより、土壌のストレス要因を規定することができる。
- 担当:中国農業試験場・畑地利用部・畑土壌管理研究室
- 連絡先:0773-42-9909
- 部会名:生産環境(土壌・気象)
- 専門:土壌
- 対象:細菌
- 分類:研究
背景・ねらい
根圏微生物の機能は様々な環境条件に左右されるため、作物生産において活用するには、土壌環境での根圏微生物の生態と機能を十分に理解しておく必要がある。根圏微生物なかでも有用微生物の土壌中での挙動およびストレス状態を判断するためのひとつのアプローチとして、画像解析装置を用いた細菌の運動性解析法について検討した。
成果の内容・特徴
- 蛍光性Pseudomonas 菌株の菌体懸濁液を土壌溶液等の供試試料に添加し、プレパラートを作製する。光学顕微鏡(800倍)にセットしたCCDカメラにて動画像をコンピューターに取り込む。取り込んだ動画像を動画解析ソフト(株式会社ライブラリー)を利用し、菌体の運動速度を計測する(図1)。
- 高濃度塩化カルシウムによる菌体の運動性抑制は、軟寒天法と同様に画像解析法にて解析可能である(図2)。
- 画像解析装置を利用した細菌の運動性解析法は、有機物施用等の土壌管理や様々な環境条件における細菌の運動や運動パターンを詳細に解析でき、細菌の運動性に及ぼす土壌のストレス要因を規定することが可能になる(表1)。
成果の活用面・留意点
- 画像解析装置を利用した方法は、軟寒天法のように土壌溶液に熱を加えることなく利用できるため、土壌溶液の熱による変性等もなく、しかも少量の試料で、土壌中で実際に細菌が生息している条件で細菌の運動性を解析できる。
- 画像解析法を利用して、土壌溶液中の細菌の運動性を解析することにより、細菌の運動性に及ぼす塩類集積条件等のストレス要因を特定することが可能となる。
- この方法は有用微生物の農業利用に関し、接種菌株を根圏に効率的に定着させるための適切な土壌管理技術を開発するために活用できる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:連作障害軽減のための根圏生態系解析制御技術の開発
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成12年度(平成10年~14年)
- 研究担当者:浦嶋泰文、福永亜矢子、須賀有子、堀 兼明
- 発表論文等:
根圏微生物相の制御による野菜安定生産技術の開発(第10報)―画像解析装置を利用した細菌の運動性解析―、
日本土壌肥料学会講演要旨集、第46集、37、2000. 画像解析による細菌の運動性解析、日本土壌肥料学雑誌、
第72巻、第1号、85-87、2001.