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発情周期および妊娠初期から中期のウシ子宮内膜では、白血病阻止因子(leukemia inhibitory factor (LIF))ならびにマクロファージコロニー刺激因子(macrophage colony stimulating factor (M-CSF))遺伝子が発現している。LIF遺伝子は胎盤形成期から妊娠中期の子宮小丘間部で、M-CSF遺伝子は妊娠中期の子宮小丘間部で高い発現を示す。
ウシ胚の妊娠成立、維持には種々の生理活性物質の関与が考えられるが、不明な点が多く残されている。これら生理活性物質の機能を明らかにし、応用していくことは人工授精、胚移植などによる受胎率向上を目指す上で大きな貢献をすると考えられる。そこで、ヒトやマウスで妊娠への関与が報告されているサイトカインの中で、マウスで着床に必須とされ、ヒト子宮内膜でも発現が認められているLIFと、マウスで着床に重要であり、ヒトでも妊娠成立・維持に関与すると考えられているM-CSFについて、発情周期ならびに妊娠初期のウシ子宮内膜における遺伝子発現の様相を検討した。
黒毛和種雌牛13頭(発情周期0、6、13、14日、妊娠17、20、30、34、48、49、135、140日齢)を供試した。各遺伝子発現量の測定 は、TaqManプローブとプライマーを用い、グリセルアルデヒドリン酸脱水素酵素(glyceraldehyde-phosphate- dehydrogenase(GAPDH))遺伝子を内部標準として、ABI Prism 7700 sequence detection systemにより行った。各値の解析はMann-Whitney U testで行った。
ウシの妊娠成立・維持機構を解明する上での重要な情報となる。