良食味の低グルテリン米水稲新品種「LGCソフト」
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要約
水稲「LGCソフト」は熟期が早生の晩の低アミロース系統である。白米中の易消化性タンパク質であるグルテリン含量が少なく、良食味であり、タンパク質摂取が制限される慢性腎不全患者の病態食への利用が期待される。
- キーワード:水稲、LGCソフト、低アミロース、グルテリン、良食味、慢性腎不全、病態食
- 担当:近中四農研・作物開発部・稲育種研究室、生物研・放射線育種場・突然変異遺伝子研究チーム
- 連絡先:0849-23-4100
- 区分:近畿中国四国農業・作物生産
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
タンパク質摂取が制限される慢性腎不全患者は、糖尿病に起因する患者も含めて増加傾向にある。そこで、米のタンパク質組成の改変により、易消化性タンパク質のグルテリン含量を低下させ低タンパク米としての機能性を付与するだけでなく、一層食味が改善された品種を育成することで、病態食としての継続利用がより容易なものとなることを図る。
成果の内容・特徴
- 「LGCソフト」は、良食味、低グルテリン米品種の育成を目的として、平成4年に農業生物資源研究所放射線育種場で「ニホンマサリ」の低アミロース突然変異系統「NM391」を母、低グルテリン系統「エルジーシー1(LGC1)」を父として交配し、F2世代以降を近畿中国四国農業研究センター(旧中国農業試験場)で育成した系統である(表1)。
- 出穂期は「ニホンマサリ」、「エルジーシー1」とほぼ同じで、「コシヒカリ」より4日程度遅く、育成地では“早生の晩”に属する低アミロース系統である。稈長は「ニホンマサリ」、「エルジーシー1」より6cm程度短い“短稈”である(表1)。
- 玄米千粒重は21g前後で、玄米は低アミロースのため白濁する(表1)。
- タンパク質組成は、グルテリンが減少し、難消化性のプロラミンが増加しており、白米中(90%搗精)のグルテリン組成は約31%と低い。これは低グルテリン米「エルジーシー1」および「春陽」とほぼ同じである。このため、病態食としてのタンパク質の摂取を低減させる効果はこれらの品種と同じと考えられる(表1)。
- 炊飯米は低アミロースのためよく粘り、水加減を15%減じた場合、食味は「エルジーシー1」、「日本晴」より明らかに良好で、「エルジーシー1」に1/3程度の混米(水加減5%減)した条件でも「日本晴」より食味が良好である(表2)。
成果の活用面・留意点
- 「LGCソフト」は、中国、四国、近畿、東海、関東の平坦部から中山間地域の平坦部~中山間地域での作付けに適する。ただし、登熟期の気温によりアミロース含量は変動する。
- 病態食用として総タンパク質の増加は避けなければならないので、多肥栽培は避ける。
- 「低グルテリン米」としての純度を保つためにより厳格な種子および米の管理を行う。
- 腎臓病患者への病態食に用いる場合には専門の医師、栄養士の指導を受ける。
具体的データ


その他
- 研究課題名:温暖地西部向き晩播適性を備えた良食味品種、新形質米品種の育成
- 予算区分:新形質米・次世代稲作・21世紀プロ
- 研究期間:1992~2001年度
- 研究担当者:春原嘉弘、飯田修一、前田英郎、松下景、根本博、石井卓朗、吉田泰二、中川宣興、坂井真、西尾剛
- 発表論文等:品種登録出願第14067号(2001年11月15日)