平張型傾斜ハウスの開発と利用

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

パソコン上で圃場の形状や傾斜に応じて設計支援できる平張型傾斜ハウスを開発した。傾斜地に賦存する斜面風の取り込みに優れ、小型作業機や薬剤散布装置を使用した快適な野菜・花きの周年生産ができる。

  • キーワード:平張型傾斜ハウス、設計支援、パソコン、快適、野菜・花き、周年生産
  • 担当:近中四農研・傾斜地基盤部・機械施設研、総合研究部・総研3チーム
  • 連絡先:0877-63-0800
  • 区分:近畿中国四国農業・作業技術、花き、共通基盤・総合研究
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

四国山間傾斜地の農業活性化には野菜・花き生産の振興と傾斜地作業の省力・軽労化技術の開発が重要である。そこで不整形な傾斜圃場に対応した低コストハウスおよび小型作業機等による傾斜地作業の軽労化と野菜・花き導入による周年利用技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 山間地域の小区画・不整形な傾斜畑における野菜・花きの周年生産向けの足場汎用資材を主骨材とした、高軒高・強化構造の低コスト平張型傾斜ハウスを開発した(図1)。
  • 設計から施工に至るプロセスを簡便化するため、Windows上で動くソフトウエア「小区画圃場のデジタル標高モデル生成プログラム」および「平張型傾斜ハウス設計支援プログラム」からなるハウス設計支援システムを開発した(図2)。
  • 平張型傾斜ハウスは斜面風を効率的に取り込めるため換気性能が優れ、作業時の身体負担が小さい(図3)。小型溝上げ機による等高線作畝、レール式薬剤散布装置による農薬散布により傾斜地作業が軽労化される(図省略)。
  • 平張型ハウスの開発と換気性等の環境調節技術により、夏秋期にトマト、冬春期にスイートピーの連続栽培が可能となった(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 平張型傾斜ハウスを設置する場合は近中四農研センターの傾斜ハウス施工マニュアル資料を活用する。
  • 傾斜ハウス設計支援システムの利用希望者に対して、所定の審査後、ユーザーマニュアルとともに配布する。
  • ハウス面積が2アール以上で軒高が2.5mに満たない場合は自然換気能が劣る場合がある。
  • スイートピーはトマトの立毛間播種により、年内から切り花を開始する。

具体的データ

図1 傾斜段畑に対応した平張型傾斜ハウス 図2 設計支援システムの操作画面

 

図3 平張型傾斜ハウスの換気性 図4 四国山間傾斜地域における傾斜ハウスを利用したトマト・スイートピーの連続栽培

その他

  • 研究課題名:環境保全的省エネ型栽培システムの体系化、施設内作業の快適・省力機械化作業システムの体系化
  • 予算区分:傾斜地野菜・花き
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:長崎裕司、田中宏明、野中瑞生、川嶋浩樹、的場和弘、角川 修、猪之奥康治、岡戸敦史、
                      宮崎昌宏、鶴崎 孝(愛媛大学農学部)
  • 発表論文等:1)レール式自動薬剤散布装置(2000)特許3141016号
                      2)長崎ら(2000)、60農機学会講演要旨:197-198
                      3)川嶋ら、(2000)、農業生産技術管理学会(7):37-38