紙マルチを利用した夏季ホウレンソウ安定生産
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要約
夏季ホウレンソウに有孔紙マルチを利用すると生産が安定する。紙マルチにより、収穫までの期間が短縮されるとともに、生育の揃い及び収量が優れる。また、紙マルチは収穫後に回収し、2作利用できる。
- キーワード:有孔紙、紙マルチ、ホウレンソウ、2作利用
- 担当:近中四農研・総合研究部・総合研究第4チーム
- 連絡先:0773-42-0109
- 区分:近畿中国四国農業・野菜
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
夏季高温期のホウレンソウ直播栽培に利用できるマルチとして、有孔紙マルチを開発した。この技術を核に、ホウレンソウ産地の夏季生産の安定化を図るため、実証試験を踏まえ、生産現場に導入可能な紙マルチ利用の総合技術を確立する。
成果の内容・特徴
- 再生紙を原料とし、収縮防止のためのエンボス加工した紙マルチを使用する。孔間隔 は6cmで、孔の形状を3×6cmの丸長方形とした有孔紙マルチを播種後に敷設する。この有孔紙マルチは任意の播種間隔に対応できる。播種の条間をマルチ孔の6cm内の 幅に合わせる。
- 夏季高温期のホウレンソウ栽培で有孔紙マルチを利用すると、生育が顕著に促進され、収穫までの期間が短縮される。また、生育の揃いが向上し、収量も増加する(図1、図2)。
- 夏季のホウレンソウ栽培では、播種から収穫終了までが約1ヵ月と短いため、資材コストの面から紙マルチを反復利用することが望ましい。紙マルチの固定を従来の土寄せの方法から、紙マルチの上から細いポールと紐で押さえる方法にすることで、収穫後に回収し、再利用できる。2作目でも紙マルチ自体の縮みや歪みがなく、強度も十分であり、新しい紙マルチと同様に扱える(図3)。
- 地温上昇抑制をはじめとする紙マルチの高温ストレス軽減効果は、2作利用でも1作目と同様に得られる。(図4)。
成果の活用面・留意点
- 有孔紙マルチは、ホウレンソウだけでなく直播栽培を行う野菜に利用できる。
- 有孔紙マルチは、本成果を踏まえて、すでに市販されている。
- 雨よけハウス栽培を対象としている。
- 利用技術マニュアルを作成する。
具体的データ


その他
- 研究課題名:中山間における紙マルチを利用した夏季ホウレンソウ生産の安定化
- 予算区分:中山間水田複合生産
- 研究期間:1999~2001年度
- 研究担当者:田中和夫、熊倉裕史、亀井雅浩、尾島一史、土屋史紀
- 発表論文等:1)田中ら(2000) 園学雑 69(別1):261
2)田中ら (2001) 農業および園芸 76:397-401