防虫ネットによる葉菜類の食害軽減

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要約

0.6mm目合いのネットトンネルで葉菜類の食害を顕著に抑制できる。また、0.6mm目合いのネットで被覆しても、トンネル内の温度および湿度に及ぼす影響は小さい。春~秋の害虫の多く発生する時期の食害軽減にネットトンネルは有効である。

  • キーワード:ネット、葉菜類、温度、湿度、害虫防除、トンネル
  • 担当:近中四農研・総合研究部・総合研究第4チーム
  • 連絡先:0773-42-0109
  • 区分:近畿中国四国農業・野菜
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

減・無農薬で野菜を栽培しようとすると、春~秋の温度の高い時期では害虫による被害が甚大である。高温による生育抑制や多湿による病害発生を助長しない防虫用被覆資材として、ネット状の被覆資材の有効性を検討する。

成果の内容・特徴

  • 防虫ネットの目合いが小さくなるほど害虫による食害を軽減する効果が高い。春~秋にコマツナ等の葉菜類を防虫ネットトンネルで栽培すると、1.0mm目合いで明らかな軽減効果が、0.8mm目合いではわずかな食害のみであり、0.6mm目合いでは食害がほとんど認められない(表1)。
  • 減・無農薬栽培圃場でも、0.6mm目合いの防虫ネットで被覆することによって、コマツナ等への食害を軽減できる(表2)。
  • 防虫ネットの目合いが小さくても、トンネル内の温度に及ぼす影響は小さい。0.6mm目合いと1.0mm目合いとの温度差はわずかである。一年を通じて最も外気温の高い8月の日中でも2℃以下の温度上昇である(図1)。
  • 防虫ネットの目合いが小さくても、トンネル内の湿度に及ぼす影響は小さい。湿度が上昇する夜間について、相対湿度でみると、ネット被覆の場合は0.6mm目合いと1.0mm目合いとの差はわずかで、ともに外気に比べ2~3%の上昇である(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 減・無農薬を目指した葉菜類の害虫総合防除技術の構成要素として活用できる。
  • 人工培地のプランターを使用し、地中からの害虫発生がない条件での結果である。
  • ヨトウ類等の孵化後間もない幼虫やアブラムシ類がわずかにネット内に侵入する。侵入したヨトウ類の除去およびアブラムシ類の増殖防止対策などが必要である。

具体的データ

表1 被覆資材の違いと葉菜類の食害程度

 

表2 0.6mm ネット被覆栽培における食害程度と侵入害虫

 

図1 被覆資材の違いによる8月のトンネル内温度の推移 図2 被覆資材の違いによる3~8月のトンネル内相対湿度の推移

 

その他

  • 研究課題名:防虫ネット及び天敵等による害虫防除技術の開発
  • 予算区分:21世紀プロ(7系)
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:田中和夫、尾島一史、長坂幸吉、中川 泉、熊倉裕史、濱本 浩