希少糖D-プシコース、D-アロースの抗酸化作用

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要約

六炭糖の抗酸化作用をESR、鉄・リノール酸、DPPH、NBT、β-カロテンを用いるそれぞれの方法で測定したところ、希少糖であるD-プシコース、D-アロースはエピマーであるD-フルクトース、D-グルコースと比べいずれの測定法においても活性が高い。

  • キーワード:希少糖、D-プシコース、D-アロース、抗酸化、ラジカル消去
  • 担当:近中四農研・特産作物部・成分利用研究室
  • 連絡先:0877-63-8129
  • 区分:近畿中国四国農業・食品流通
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

農業や食品産業等からの廃棄物を化学反応と微生物酵素による分解を組み合わせて生産された希少糖類を有効利用するために、希少糖類の機能性を評価する。今回、希少糖類のD-プシコース、D-アロースとそのエピマーについて活性酸素等のラジカル消去能、抗酸化活性を各種測定法を用いて比較検討した。

成果の内容・特徴

  • xanthin/xanthin oxidaseを用いて活性酸素を生成させスピントラッピング剤DMPOを用いて電子スピン共鳴装置(ESR)により活性酸素ラジカル消去を測定する方法及び酸化促進剤として鉄を用いてリノール酸を酸化させ酸化還元滴定により抗酸化能を測定したところ、D-プシコースの活性が50mMまでの各濃度とも最も高いことがわかった。次いでD-アロース、D-フルクトース、D-グルコースの順であった(図1、2)。
  • 安定なラジカルであるDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)の退色を利用した方法及びxanthin/xanthin oxidaseを用いて活性酸素を生成させテトラゾリウム塩の還元反応を利用したNBT(nitroblue tetrazolium chloride)法によるラジカル消去能はD-アロースが最も高く、次いでD-プシコース、D-フルクトース、D-グルコースの順であった(図3、4)。
  • β-カロテンの退色を利用した方法で抗酸化活性を調べたところD-アロースとD-プシコースが各濃度ほぼ同等の抗酸化能を示し、次いでD-フルクトース、D-グルコースの順であった(図5)。いずれの測定法においても活性が高かったのは希少糖のD-プシコースとD-アロースであり、活性が低いのはエピマーであるD-フルクトース、D-グルコースで通常の糖であった。エピマー化によるわずかな化学構造の変化(図6)が抗酸化活性の発現に影響を及ぼしていることがわかった。

成果の活用面・留意点

  • 希少糖類は水に対する溶解性が高いことからその特徴を活かした利用が出来る。
  • 現時点では供給量に限度があるので大量の使用は出来ない。

具体的データ

図1.ESR法によるD-プシコース等のラジカル消去能の測定 図2.鉄・リノール酸法によるD-プシコース等の抗酸化能の測定

 

図3.DPPH法によるD-プシコース等のラジカル消去能の測定 図4.NBT法によるD-プシコース等のラジカル消去能の測定

 

図5.β-カロテン退色法によるD-プシコース等の抗酸化能の測定 図6.希少糖とそのエピマーの化学構造

その他

  • 研究課題名:希少糖類の健康機能性の評価に関する研究
  • 予算区分:科・社会基盤[希少糖類]
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:関谷敬三