大豆イソフラボンによる高血圧モデル動物の血圧の低下

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

高血圧モデル動物である脳卒中易発症ラット(SHRSP)にイソフラボンを投与すると血圧の上昇が有意に抑えられる。イソフラボン投与群では尿中カテコールアミンの低下、尿中一酸化窒素の増加、内臓脂肪の低下を伴っており、これらが血圧低下に寄与していることが示唆される。

  • キーワード:大豆、イソフラボン、高血圧、カテコールアミン、NO、内臓脂肪
  • 担当:近中四農研・特産作物部・成分利用研究室
  • 連絡先:0877-63-8129
  • 区分:近畿中国四国農業・食品流通
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

大豆には多くの機能性成分が含まれ種々の機能性が明らかにされてきているが、本研究においては大豆イソフラボン(以下イソフラボン)の機能性を解明することを目的としている。これまで更年期障害モデルである卵巣摘除ラットを用いた試験でイソフラボンは脂肪重量を減少させる作用を持つことを見いだしたので、今回脂肪重量の増加が悪影響を与える高血圧についてモデル動物を用いてイソフラボンの影響を検討した。

成果の内容・特徴

  • 高血圧のモデル動物である脳卒中易発症ラット(SHRSP)(各群6頭)の収縮期血圧は対照群において実験期間中140mmHgから206mmHgまで上昇した。イソフラボンを投与した群において収縮期血圧は7、14日目には有意な低下は認められなかったが、21日目には40mg投与群で28日目には20, 40mg両投与群において有意な低下が認められた(図1)。
  • 血管を収縮させることで血圧を上げる作用のあるカテコールアミンについて尿中含量を測定したところ、イソフラボン投与群においてアドレナリン、ノルアドレナリン(図2)、ドーパミンともに有意な低下が認められた。
  • 血管を拡張させ血圧を下げる作用のある一酸化窒素(NO)の尿中含量を測定したところ、イソフラボン投与群において有意で顕著な増加が認められた(図3)。
  • イソフラボン投与群では血清中の総コレステロール、中性脂肪が低下していた。体重は40mg群では投与3日後から有意な低下が認められ、終了時には20mg投与で約5%、40mgで7%の低下が認められた。また、内臓脂肪重量の有意な低下が認められた(図4)。なお、摂餌量の低下傾向がイソフラボン投与群で認められたが有意ではなかった

成果の活用面・留意点

  • ヒトでの効果は別に検討する必要がある。
  • 現M時点では供給量に限度があるので大量の使用は出来ない。

具体的データ

図1.イソフラボンによる血圧の低下 図2.イソフラボンによる尿中ノルアドレナリンの低下

 

図3.イソフラボンによる尿中NOの低下 図4.イソフラボンによる内蔵脂肪の低下

その他

  • 研究課題名:大豆イソフラボンの糖・脂質代謝活性化作用の解明
  • 予算区分:21世紀2系
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:関谷敬三