大麦における加熱後褐変の少量検定法

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

大麦粉懸濁液を利用して、加熱後褐変を検定する少量検定法を開発した。従来法と比べ、少量検定法では1.0g程度の極少量で、簡便にかつ多数のサンプルを検定することができる。

  • キーワード:少量検定法、加熱後褐変、分光測色計、大麦
  • 担当:近中四農研・作物開発部・裸麦育種研究室
  • 連絡先:電話0877-63-8126、takayama@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・作物生産(冬作分科会)、作物・冬作物
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

大麦は米や小麦などの他の穀物と比較して、加熱処理により褐変しやすい。このことは麦飯や麦味噌などに利用上考慮すべき要素となっている。従来の加熱後の褐変程度の測定には、搗精した大麦の粉を10g程度必要とするため、育成初期の段階から、褐変による選抜は困難である。そこで、育成の初期段階から利用することのできる少量検定法について検討した。

成果の内容・特徴

  • 少量検定法による加熱後の褐変程度の測定法は次の通りである。
    (1)大麦粉1.0gに分散のためにエタノール2.0mlを加え、蒸留水23mlを加え懸濁液とし、10ml取り分光測色計(ミノルタ
        CM-3500d)でL*a*b*を測定する。(図1、図2)。
    (2)残りの懸濁液15mlを90℃・2時間加熱する。
    (3)加熱後放冷し10ml取り分光測色計でL*a*b*を測定する。
    (4)L*a*b*からハンター白度を計算し、加熱前後の値の差より褐変程度を求める。ハンター白度の計算式は次のとお
         りである。 ハンター白度(W=100-((100-L*2)+a*2+b*2)1/2)
  • 少量検定法は従来法との間には高い相関関係があり測定法として適当である(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 極少量の試料で加熱後褐変を検定できるため、育成初期から選抜に利用できる。
  • 均一な懸濁液を得るために、加熱中に2回程度の撹拌を行う必要がある

具体的データ

図1 懸濁液の濃度および測定液量と変動係数の関係

図2 分散のために加えるエタ ノール量と褐変程度の関係

 

図3 少量検定法と従来法の加 熱後白度の関係

その他

  • 研究課題名:加熱後色相の優れた高品質裸麦の早期選抜
  • 予算区分:21世紀1系・交付金
  • 研究期間:2000~2001年度
  • 研究担当者:松中 仁、神山紀子、藤田雅也、高山敏之、土井芳憲、柳沢貴司