中耕ロータリを利用した大豆のトリプルカット不耕起播種機

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要約

爪により播種溝、亀裂、施肥溝を作成する、3条及び6条密植に対応した不耕起施肥播種作業を行うトラクター直装式作業機である。肥効調節型肥料を用いた不耕起密植無培土栽培により作業時間を慣行より0.75時間削減できる。

  • キーワード:不耕起播種、大豆、無培土、肥効調節型肥料
  • 担当:近中四農研・作物開発部・機械作業研究室
  • 連絡先:電話084-923-4100、電子メールjunk@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近畿中国四国地域における大豆の収量は低く、不安定であることが問題となっている。また、麦作後の大豆播種作業は梅雨時期に重なる可能性が高い。

成果の内容・特徴

  • 本機は、3本の溝(播種、亀裂、施肥)を作成して不耕起播種を行う。同一線上に交互に並んだ2本の普通爪及び2本のなた爪(直刃)により、播種溝、亀裂を作成し、麦収穫後のほ場においても、すぐに不耕起播種を行うことができる。亀裂は、播種溝の滞水を低減する。また、4本のなた爪(直刃、突起付き)で溝を切り、側条施肥を行う。側条施肥をすることで、大豆種子と肥料の接触を防いでいる(図1、図2)。
  • 表1に主要な諸元を示す。簡単にできる爪ユニット及び播種ユニットの脱着により、3条播種、6条播種に対応する。播種部は3条なら条ごと、6条なら2条ごとに独立懸架となっているので、ほ場面の凹凸に対応しやすい。
  • 施肥播種作業と同時に農薬の条散布、除草剤散布を行うことができる。また、マーカは不耕起ほ場でも確認しやすい泡方式を採用している。
  • 作業能率は、3条播種、条間75cmの場合、1時間あたり約50aである(26kWのトラクタを使用)。
  • 肥効調節型肥料との組み合わせで、追肥、中耕作業を省略でき作業時間を0.75時間短縮できる不耕起密植無培土栽培を行うことができる。不耕起密植無培土区の収量は耕起追肥区と同程度である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 播種ユニットの分離、爪の交換で追肥中耕培土作業にも使用できる。
  • 麦収穫後、わらの偏りができた場合は、播種精度が落ちるため、均一にすることが望ましい。

具体的データ

図1 播種機外観及び不耕起施肥播種概念図

 

図2 亀裂の有無と根の発育の違い

 

表1 不耕起播種機主要諸元

 

表2 作業時間及び生育・収量

その他

  • 研究課題名:近畿中国四国地域における大豆安定多収栽培技術の開発-機械作業
  • 予算区分:21世紀2系
  • 研究期間:2001-2004年度
  • 研究担当者:窪田 潤、石田茂樹、亀井雅浩、吉田智一、竹田博之、土屋史紀
  • 発表論文等:1) 土屋ら(2000)不耕起播種機の開発、農機学会関西支報87:65-68
                      2) 土屋ら(2001)不耕起播種機の開発(第2報)、農機学会関西支報89:82-85