コマツナの無農薬ハウス生産における耕種的な害虫被害軽減
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要約
無農薬ハウス栽培でのコマツナの周年安定生産には、収穫量の多くなる3~9月に、輪作や太陽熱処理を組み込み、ハウス毎にコマツナを作付けしない期間を設けることで、害虫による食害が軽減され、出荷量も安定する。
- キーワード:無農薬栽培、コマツナ、トマト、太陽熱処理、害虫、食害
- 担当:近中四農研・総合研究部・総合研究第4チーム
- 連絡先:0773-42-0109、tnk@affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・総合研究
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近畿・中国の中山間で野菜を生産する農家は環境保全型農業、特に無農薬・無化学肥料への指向が強い。そこで、減・無農薬栽培での生産を安定化するため、有機栽培でコマツナを連作し周年出荷している農家のハウスに輪作や太陽熱処理を導入し、その害虫被害軽減効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
- コマツナを無農薬で連作すると、キスジノミハムシ、ダイコンハムシ、ニセダイコンアブラムシ、ネキリムシ、ヤサイゾウムシ等による食害が激しい。
- 一方、春作にトマトを作付けした場合と夏季に太陽熱処理を行ったハウスでは、9月以降に明らかな食害軽減効果が認められる(図1)。その食害軽減効果は農家の出荷量からも確認できる(図2)。なお、翌年の春先以降への効果はない。
- コマツナの生育日数は、温度の高い4月~9月は約30日と短く、11月~2月の低温期は60~90日程度と長くなる(図3)。
- 調査農家の事例では、8月をピークに果菜類を中心に輪作されているが、毎日播種した場合の収穫延べ面積を月別に求めると、3~5月が収穫のピークとなり、9月までが多い(図4)。
- 春先からアブラナ科以外の作物を積極的に導入し、6月以降は短期間で効果のある太陽熱処理も組み合わせ、3月~9月にコマツナを作付けしない期間を全ハウスに計画的に設けることで害虫による被害が軽減できる。
成果の活用面・留意点
- 減・無農薬栽培農家を対象とする。
- 側面の防虫ネットなど、害虫侵入防止策の施されているハウスを対象とする。
- データは京都府北部での事例である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:減・無農薬生産における生育環境の不安定要因や管理作業の改善
- 予算区分:21世紀プロ(7系)
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:田中和夫、尾島一史、長坂幸吉