レタスビッグベイン病に対するレタス品種の抵抗性

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要約

レタスビッグベイン病に対する抵抗性には品種間差が認められた。クリスプヘッド型品種の抵抗性の程度は、発病関連ウイルスの検出時期と対応している。バターヘッド、コス、ステム、赤色系リーフ型では、栽培初期にウイルスが検出されるが、典型的な病徴は収穫期になってもほとんどみられない。

  • キーワード:レタスビッグベイン病、発病関連ウイルス、抵抗性、レタス品種
  • 担当:近中四農研・特産作物部・野菜花き研究室
            野菜茶業研・葉根菜部・キク科育種研究室
  • 連絡先:電話0877-62-0800、電子メールfujiih@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業、野菜茶業・野菜育種
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

レタスビッグベイン病の防除技術として、抵抗性品種の利用は最も簡便な方法として効果が期待されているが、わが国での抵抗性品種の検索は十分に行われていない。そこで、広く国内外から品種・系統(約300点)を収集し、発病に対する抵抗性を汚染圃場で調査する。さらに、最近開発された血清学的手法(ウエスタンブロット法)を用いて、発病と2種の関連ウイルス(Lettuce big-vein virus (LBVV)、Mirafiori lettuce virus (MiLV))の関係を検討する。

成果の内容・特徴

  • 結球種であるクリスプヘッド型では、多くの国内品種(「シスコ」、「サントス2号」、「シナノグリーン」など)が顕著な罹病性を示すのに対し、近年、アメリカから導入された抵抗性品種である「Thompson」、「Pacific」などは発病に対して強い抵抗性を示す(表1)。
  • 結球種以外のバターヘッド、コス、ステム型は、クリスプヘッド型と比較して、全体的に発病度が低い(表1)。
  • リーフ型では、緑色系の発病度が高いのに対し、赤色系では典型的な病徴がほとんどみられない(表1)。
  • 発病に関係すると報告されている2種のウイルス(LBVVとMiLV)は、病徴の有無に関わらず、すべてのレタス品種・系統から検出される(表2)。
  • 抵抗性の弱いクリスプヘッド型品種・系統(「シスコ」、「サントス2号」、「シナノグリーン」など)では、定植後1か月程度で両ウイルスが検出され、定植後2か月以内に発病する。一方、抵抗性の強い品種・系統(「Thompson」、「Pacific」など)では、ウイルスの検出時期が遅れ、特にMiLVは定植後3か月前後で検出され、病徴は収穫期においてもほとんどみられない(表2)。
  • バターヘッド型の「岡山サラダ菜」、コス型の「Paris White」、ステム型の「師透」、赤色系リーフ型の「晩抽サーフレッド」では、定植後1か月で両ウイルスが検出されるが、収穫期まで典型的な病徴はほとんどみられない(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 国外のクリスプヘッド型抵抗性品種(「Thompson」、「Pacific」など)は、品質に問題が残るが、強い抵抗性を有するため、国内向けの抵抗性品種の育種素材として有望である。
  • ウイルスの検出時期の遅れが、ウイルス自体に対する抵抗性であるか、または媒介菌(Olpidium brassicae)に対する抵抗性であるかは、今後の検討課題である。

具体的データ

表1 汚染圃場での発病度 表2 代表的な品種の病徴発現時期とウイルス検出時期

その他

  • 研究課題名:レタスビッグベイン病抵抗性素材の検索と品種抵抗性利用技術の開発
  • 予算区分:レタス
  • 研究期間:2000~2002年度
  • 研究担当者:藤井寛也、川頭洋一、藤野雅丈、竹崎あかね、笹谷孝英、石川浩一