培地乾燥によるトルコギキョウのロゼット化と日中の葉温上昇
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要約
トルコギキョウのロゼット株率は、高温条件では短期間の培地乾燥でも高くなるが、夜温を下げると培地が乾燥しても高くならない。培地の乾燥程度が高まると、植物体含水率が低下して高日射条件下での葉温が気温以上に高くなる。
- キーワード:培地乾燥、葉温、高日射、植物体含水率、夜冷、ロゼット、トルコギキョウ
- 担当:近中四農研・特産作物部・野菜花き研究室
- 連絡先:電話0877-62-0800、電子メールakane@affrc.go.jp
- 区分:近畿中国四国農業、花き
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
高温期におけるトルコギキョウのロゼット化は,水耕やかん水量の増加によって抑制されることから,水ストレスのロゼット化への関与が推測される。しかし、比較的気温の低い高冷地では土壌乾燥によって水ストレスを与えてもロゼット化には影響しなかったとの報告がある。水ストレスは、一般に、気孔閉鎖によって蒸散速度の低下を引き起こし、しばしば葉温を上昇させる。そこで、培地乾燥による水ストレスがロゼット化と葉温に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 気温27-33℃条件下において、幼苗期に培地含水率を常に40%以上に保った場合、ロゼット株率は0%となるが、培地含水率25%を潅水点として9週間管理した場合、ロゼット株率は約70%と高くなる(図1-a)。
- 気温29-35℃条件下では、培地含水率を常に40%以上に保ってもロゼット株率は57%と高くなるが、22%を潅水点として1週間管理するとロゼット株率はさらに高まる(図1-b)。
- 気温32-38/15℃(昼温/夜温)条件下で、培地含水率22%を潅水点として管理した場合、乾燥期間にかかわらずロゼット株率は0-12%と低くなり、日中の高葉温の影響は、夜間の低温で消去される。(図2)。
- 本葉2節位展開時において、高日射条件下で(PPFD 1540μmol・m-2・s-1、38℃)、培地含水率が約30%以下になると、植物体含水率が低下し、2節位葉温が約10℃高まる(図3、図4)。気温と日射が低下すると(PPFD 234μmol・m-2・s-1、33℃)、培地含水率の違いによる葉温差は小さくなる。
成果の活用面・留意点
- 培地乾燥によるロゼット株率の増加には、葉温上昇が影響を及ぼしている可能性がある。
- 本葉2節位展開時には、温度感応部位と考えられる生長点の温度は2節位葉身の温度に近いと推測される。
- 高温感応性が高い本葉1-1.5節位展開時から本試験を開始した。
具体的データ




その他
- 研究課題名:トルコギキョウのロゼット化に関する研究
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001-2003
- 研究担当者:竹崎あかね、藤井寛也、藤野雅丈