脂肪蓄積関連遺伝子であるレプチンの牛サーロインにおける発現量の変化
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要約
黒毛和種肥育牛のサーロインにおけるレプチン遺伝子の発現はホルスタイン種より高く、月齢と脂肪交雑を反映した発現パターンを示す。この傾向は黒毛和種で顕著である。
- キーワード:家畜生理、ウシ、脂肪蓄積関連遺伝子、レプチン、サーロイン、脂肪交雑
- 担当:近中四農研・畜産草地部・産肉利用研究室
- 連絡先:電話0854-82-2047、電子メールaikawa@affrc.go.jp
- 区分:近畿中国四国農業・畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
脂肪交雑(霜降り)の分子指標を見出すため、一般に脂肪交雑が形成され易いといわれている黒毛和種去勢肥育牛を用い、そのサーロイン(腰最長筋)における脂肪蓄積関連遺伝子5種の発現量を同じ飼養条件のホルスタイン種と比較する。また、発現量に差のある遺伝子については、月齢、脂肪交雑(28ヶ月齢のBMS)、品種と発現量との関係を定量的PCRを用いて解析する。
成果の内容・特徴
- ホルスタイン種と黒毛和種を用いて、肥育中期のサーロインにおける5種類の脂肪蓄積関連遺伝子の発現量を比較した場合、20ヶ月齢の黒毛和種ではレプチンとLPLの発現が増加するが、レプチンの発現量の増加が最も顕著である(図1)。
- 定量的PCRを用いて測定したレプチンの発現量は、月齢と脂肪交雑(BMS)を反映したパターンを示すが、この傾向は黒毛和種で顕著である(図2)。
- ホルスタイン種3頭のレプチンの発現量は、BMSの最も低い黒毛和種Aよりもさらに低く、レプチンの発現量には品種間差が認められる(図3)。
成果の活用面・留意点
- 20ヶ月齢の黒毛和種においては、BMS=7の個体とBMS=3の個体をレプチンの発現量から識別可能であるが、BMSとレプチンの発現量との相関関係については、今後例数を増やして調査することが必要である。
- 試験牛からの発現遺伝子測定用試料の採取にはバイオプシー(生検)を行う必要がある。
- 肥育は10ヶ月齢から濃厚飼料の飽食で行った点に留意する必要がある。
具体的データ


その他
- 研究課題名:和牛における脂肪蓄積遺伝子の筋肉内発現による脂肪交雑判定技術の開発
- 予算区分:形態・生理
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:相川勝弘、松本和典