有機栽培コマツナでの主要害虫の発生消長
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要約
有機栽培コマツナ圃場では28種以上の害虫が発生する。主要種はアブラムシ類とコウチュウ類であり、春にはニセダイコンアブラムシ、春から夏にはキスジノミハムシ、秋にはダイコンハムシ、冬にはヤサイゾウムシが発生し、大きな被害をもたらす。
- キーワード:有機栽培、コマツナ、ニセダイコンアブラムシ、キスジノミハムシ、ダイコンハムシ、ヤサイゾウムシ
- 担当:近中四農研・総合研究部・総合研究第4チーム
- 連絡先:0773-42-0109、nagasaka@affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・総合研究
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近畿・中国の中山間で野菜を生産する農家は環境保全型農業、特に無農薬・無化学肥料への指向が強い。しかしながら、アブラナ科野菜を無農薬栽培した場合に多くの害虫が問題となるが、その状況を把握したデータの蓄積は少ない。そこで、有機栽培によるコマツナの周年生産を長年続けているハウスで害虫調査を行い、無農薬状態での安定した害虫相を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 京都府美山町において5年間以上有機栽培によるコマツナ周年栽培を行った圃場(雨よけハウス計10棟、1mm目合いサイドネットあるいは不織布じかがけ)では合計28種以上の害虫が発生する。種名が確認されたのは、バッタ目3種、アザミウマ目1種、カメムシ目4種、コウチュウ目4種、チョウ目12種、ハエ目1種、ハチ目3種、クモ網ダニ目1種である(表1)。
- 主要害虫は、ニセダイコンアブラムシを主としたアブラムシ類(2年間の観察個体数の86.2%)と、キスジノミハムシ、ダイコンハムシ、ヤサイゾウムシを主としたコウチュウ類(7.2%)である(表1)。
- 収穫物への付着が問題となるアブラムシ類では、ニセダイコンアブラムシが3月から6月と9月から12月に発生する(図1)。
- コウチュウ類では、キスジノミハムシが4月から9月まで、ダイコンハムシが9月から11月に、ヤサイゾウムシが11月から3月に発生する(図2)。
- 食害は、真冬を除き、おおむね40%以上の本葉に見られ、その被害率の推移はコウチュウ類3種の発生量と同調している(図3)。
- この他に、春にはナモグリバエ、春から秋にかけてカブラハバチ類、被覆が不徹底な場合にはモンシロチョウ、コナガ、カブラヤガ等が発生する(データ省略)。
成果の活用面・留意点
- 無農薬栽培では、慣行栽培で問題となる難防除害虫だけでなく、農薬に弱いとされるマイナー害虫への対策が重要となる。
- 中山間地域の小規模野菜農家を対象とした減・無農薬を特徴とする技術体系の基礎データとして利用する。
具体的データ




その他
- 研究課題名:防虫ネット及び天敵等による害虫防除技術の開発
- 予算区分:21世紀7系
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:長坂幸吉、田中和夫、尾島一史