陸稲由来イネ縞葉枯病抵抗性遺伝子のDNAマーカー

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

陸稲由来イネ縞葉枯病抵抗性遺伝子Stva、Stvbはそれぞれ第2、11染色体に座乗する。これらの遺伝子を用いた抵抗性品種育成に利用可能なSSRマーカーを作出した。

  • キーワード:イネ、縞葉枯病、DNAマーカー、育種選抜
  • 担当:近中四農研・作物開発部・稲育種研究室
  • 連絡先:電話084-923-4100、電子メールmaemae@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・作物生産(夏作)
  • 分類:科学・普及

背景・ねらい

陸稲由来イネ縞葉枯病抵抗性はStva、Stvbの2遺伝子で成り立っている。この遺伝子を生物検定により水稲品種に導入 するには多大な労力と熟練した技術を必要とするため、効率よく選抜できる手法が必要である。このため、抵抗性遺伝子をDNAマーカー地図上に位置づけると ともに、簡便に遺伝子型を判別できるSSR(Simple Sequence Repeat)マーカーを開発する。

成果の内容・特徴

  • 日本晴×陸稲関東72号のF3系統群を用いたQTL解析結果より、陸稲由来イネ縞葉枯病抵抗性遺伝子Stva、Stvbはそれぞれ第2、11染色体長腕に座乗している(図1、2)。
  • 第2染色体上の10個のSSRマーカーと2つのRFLPマーカーがStvaと連鎖しており、SSRマーカーMS-9とMS-47を用いることで効率の良い選抜が可能となる(図1)。
  • 第11染色体上の6個のSSRマーカーと4つのRFLPマーカーがStvbと連鎖しており、SSRマーカーRM209とRM5312を用いることで効率の良い選抜が可能となる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 育成系統の抵抗性遺伝子の有無を判定できることから、育種における間接選抜が可能である。
  • DNAマーカー選抜には抵抗性親または抵抗性遺伝子のドナーとなる陸稲系統を加え、選抜の指標とすることが望ましい。
  • 第11染色体Stvb近傍のSSRマーカーはインド型品種「Modan」由来の複対立遺伝子であるStvb-iの選抜にも利用でき、共優性マーカーであるためホモ、ヘテロの判別が可能である。
  • 第2染色体のStvaと連鎖するSSRマーカー(MS-3~MS-51)のプライマー配列に関しては近中四農研のHP上に公開する予定である。

具体的データ

図1.イネ縞葉枯病抵抗性遺伝子Stvaと連鎖するDNAマーカー

 

図2.イネ縞葉枯病抵抗性遺伝子Stvbと連鎖するDNAマーカー

 

その他

  • 研究課題名:DNAマーカーを用いた陸稲由来イネ縞葉枯病抵抗性遺伝子選抜技術の開発、イネの陸稲由来縞葉枯病抵抗性に関するDNAマーカー選抜技術の開発
  • 課題ID:06-03-02-01-06-03
  • 予算区分:イネゲノム、DNAマーカー
  • 研究期間:1999~2003年度
  • 研究担当者:前田英郎、春原嘉弘、飯田修一、松下景、根本博