黒毛和種における第1及び第2染色体上の増体・体型形質QTLの位置

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要約

第1染色体114センチモルガン(cM)付近に生時体重に関与するQTL、また、第2染色体1~8cM付近に増体及び体型形質に関与するQTL、同20cM付近に体型形質、同68cM付近に増体形質に関与するQTLが存在する。

  • キーワード:ウシ、黒毛和種、QTL、増体形質、体型形質
  • 担当:近中四農研・畜産草地部・育種繁殖研究室、畜産草地研・家畜育種繁殖部・上席研究官
  • 連絡先:電話029-838-8640、電子メールmkomatsu@naro.affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・畜産草地、畜産草地
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

黒毛和種では系統や種雄牛別に産肉形質に影響を及ぼす量的形質遺伝子座(QTL)領域をマイクロサテライトDNA(MS)マーカーの利用によって同定し、 血統や育種価情報を補完して選抜の正確度を向上させ得る個体能力評価手法の開発が求められている。本研究では、増体及び体型の形質に影響を及ぼすQTLの 位置を明らかにし、MSマーカー情報利用による個体能力評価手法開発に資するため、今までの我々の研究で増体・体型形質に影響を及ぼすQTLが存在すると 推定された第1、第2及び第5の3本の染色体について、黒毛和種増体系及び脂肪交雑系種雄牛・半きょうだい5家系132頭のMSマーカーを解析するととも に、生時から12ヶ月齢までの増体形質と6ヶ月齢時の体型データにつきQTL Expressを用いた連鎖解析を行い、種雄牛のもつQTLの染色体上の位置とアレルの置換効果を推定する。

成果の内容・特徴

  • 増体系DG1の家系において、生時体重、6ヶ月齢体重の増体形質及び体高・腰角幅等の体型形質に影響を与えるQTLは第2染色体1~8cM付近にマップされ、種雄牛QTLアレルの置換効果は全てマイナスである(表1)。
  • 増体系DG2の家系において、生時体重に影響を与えるQTLは第1染色体の114cM付近にマップされ、種雄牛のQTLアレルの効果は+3.7kgである(表1)。
  • 脂肪交雑系BMS1の家系において、肩幅のQTLは第1染色体91cM付近と第2染色体16cM付近、また同家系で座骨幅のQTLは第2染色体16cM付近にあり、種雄牛のQTLアレル置換効果はプラスである(表1)。
  • 脂肪交雑系BMS2の家系において、座骨幅・寛幅・胸囲のQTLは第2染色体20cM付近前後にあり、ともに種雄牛QTLアレルはプラスの置換効果をもつ(表1)。また、同BMS2の家系において、第2染色体68cM付近に見いだされた離乳後日増体重及び腹幅のQTLはマイナスの置換効果である(表1)。
  • 同じ形質に影響を及ぼすQTLの染色体上での位置は家系により異なる。

成果の活用面・留意点

同じ形質に影響を及ぼすQTLの染色体上での位置は家系により異なることから、遺伝的背景によりQTLの位置は異なることが考えられる。したがって、実際にDNAマーカーを選抜に利用する際には、今回解析した家系の遺伝的背景を考慮する必要がある。

具体的データ

表1 黒毛和種5家系半きょうだい集団における体型及び増体形質QTLのマッピング

 

その他

  • 研究課題名:黒毛和種における体型及び増体型質に影響を及ぼすQTL領域の同定
  • 課題ID:06-07-01-*-03-03
  • 予算区分:交付金、JSPS(一部)
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:小松正憲(畜産草地研)、MALAU-ADULI(JSPS)、大島一修、小島孝敏、山本直幸、 相川勝弘、早坂貴代史、小山信明、井村 毅、溝口 康(動物遺伝研)、杉本喜憲(動物遺伝研)
  • 発表論文等:MALAU-ADULI et al. (2003) Proceedings Association for the Advancement of Animal Breeding and Genetics, (15):14-17.