大豆イソフラボンのダイゼインは肥満防止や血中脂質低下の作用が強い

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要約

肥満や血中脂質上昇のモデル動物である卵巣摘除ラットに大豆イソフラボンのダイゼイン、ゲニステインを投与すると体重、血中脂質の上昇が抑えられる。この作用はゲニステインよりダイゼインで強く認められる。

  • キーワード:ダイズ、イソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、肥満、血中脂質
  • 担当:近中四農研・特産作物部・成分利用研究室
  • 連絡先:0877-63-8129、ksekiya@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・食品流通
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

大豆のイソフラボンを卵巣摘除ラットに投与すると体重や血中脂質等の上昇が抑制され正常化することを見いだしてきた。しか し、大豆イソフラボンの中にはいくつかの種類があり効果に違いのあることが推定されるためイソフラボンのなかでも代表的なダイゼインとゲニステインを分離 調製し、卵巣摘除ラットに投与して生理機能性を比較検討する。

成果の内容・特徴

  • 卵巣摘除(OVX)ラットにダイゼイン、ゲニステインを毎日経口投与(20mg/kg体重)し、4週間飼育後各種測定を行っ た。体重は卵巣摘除群(271.5g)において偽手術(Sham)群(241g)より有意に上昇する。卵巣摘除ラットにダイゼインを投与した群 (257.5g)では体重の上昇が有意に抑制される。ゲニステイン投与群(266.8g)においても体重低下が有意ではないが観察される(図1)。
  • 血中総コレステロールは卵巣摘除群で有意に上昇するが、ダイゼイン及びゲニステイン投与により有意に低下する。この低下はダイゼインでより強く認められる(図2)。
  • 血中中性脂肪(TG)も卵巣摘除群で有意に上昇するが、ダイゼイン投与により偽手術群以下にまで有意に低下する。ゲニステイン投与群においても低下作用が認められたが有意ではない(図3)。
  • 子宮重量は卵巣摘除群で顕著に低下する。ダイゼイン投与群ではその低下が有意に抑制されるが、ゲニステイン投与群では抑制作用が認められない(図4)。

成果の活用面・留意点

  • ヒトでの効果は別に検討する必要がある。

具体的データ

図1 体重に及ぼすダイゼイン、ゲニステインの影響

 

図2 血中総コレステロールに及ぼす影響

 

図3 血中中性脂肪に及ぼす影響

 

図4 子宮重量に及ぼす影響

 

その他

  • 研究課題名:脂肪細胞機能に及ぼす食品成分の影響
  • 課題ID:06-05-02-01-09-03
  • 予算区分:食品総合
  • 研究期間:2002~2005年度
  • 研究担当者:関谷敬三