乾燥ビ-ル酵母添加による粗飼料のin vitro乾物分解率向上作用
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要約
乾燥ビ-ル酵母添加により、粗飼料のin vitro 乾物分解率が向上し、メタン生成量が増加することから、第一胃内微生物活性化作用がある。粗飼料の分解率向上効果は、タンパク質、核酸の添加よりも酵母の水溶性区分が高い。
- キーワード:ウシ、動物栄養、乾燥ビ-ル酵母、粗飼料、分解率、メタン生成量
- 担当:近中四農研・畜産草地部・栄養生理研究室
- 連絡先:電話0854-82-1670、電子メ-ルansada@affrc.go.jp
- 区分:近畿中国四国農業・畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
ビ-ル酵母は人間の栄養補助食品として利用されている。また、反すう家畜には第一胃内微生物活性化作用等を目的として給与
されている。しかしながら、ビ-ル酵母の第一胃内微生物の活性化メカニズムには不明な点が多い。そこでビール酵母添加等が、第一胃内微生物活性化を示す粗
飼料のin vitrro 乾物分解率とメタン生成量に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 乾燥ビ-ル酵母の分解率は培養24時間で80%以上であり、難分解性区分の分解速度が6.2%/hと高い(表1)。
- 培養24時間(h)での粗飼料の分解率は高い順に、乾燥ビ-ル酵母添加>乾燥ビ-ル酵母水溶性区分>DNA=アルブミン添加である。すなわち、粗飼料の分解率は、タンパク質、核酸の添加効果よりも酵母の水溶性区分が強く関与する(表2)。
- 乾草への乾燥ビ-ル酵母添加によってメタン生成量は有意に増加する(表3)。
- 以上の結果から、乾燥ビ-ル酵母は、粗飼料の分解性向上作用、メタン生成増加作用があり、第一胃内微生物を活性化する。
成果の活用面・留意点
- 乾燥ビ-ル酵母給与による第一胃内微生物活性化に関する基礎的知見である。
- 実際の牛への給与による消化率改善の程度や可給量は今後検討する必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:肉用牛飼養における醸造副産物の消化特性に基づく栄養評価
- 課題ID:06-07-02-01-03-02
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:安藤 貞、西口靖彦、早坂貴代史
- 発表論文等:1)Ando et al.(2003) Asian-Aust.J.Anim. Sci.17 (1):68-72