豆腐の流通販売状況と製造業者の豆腐用大豆購入価格
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要約
広島県内の小売店における国内産大豆使用表示の豆腐は平均233円/丁であり、通常品より30%以上高く販売されている。また、製造業者の豆腐売上高に占める原料大豆費用割合は平均13%であるが、業者により9%から17%とかなりの格差が存在する。
- キーワード:豆腐販売高、大豆購入費用割合、販売チャネル
- 担当:近中四農研・総合研究部・大豆チーム(農村システム研究室)
- 連絡先:電話029-923-4100 内線404、電子メールtaichi@affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・総合研究、経営:近畿中国四国農業・農業経営
- 分類:行政・参考
背景・ねらい
西日本の中小規模の大豆産地は豆腐用が中心であるが、実需者である豆腐製造業者の大豆購入の実態は明らかになっていない。そこで、製造業者の経営状況から、その国産大豆購入価格を明らかにし、豆腐用大豆産地に対する流通情報として提供する。
成果の内容・特徴
- 広島県内の一般小売店舗(15店)における販売価格調査では、豆腐1丁(400g換算以下同様)の販売価格は50円超から200円以下の範囲に多いが、国産大豆使用表示の豆腐は100円超から300円以下の範囲に分布する(図1)。平均価格は、国産表示品233円(23アイテム)、セール品141円(68アイテム)、通常品175円(233アイテム)であり、国産大豆使用表示品はセール品に対し165%、通常品に対し133%になる。
- 広島県を中心とした近畿、中国地方の豆腐製造業者(14社)の調査により、販売チャネルによって大豆への費用投入に差があり、製造業者の国産大豆60kg当たり購入価格は、約4,000円から約1,2000円と8,000円程度の格差があることが分かった。
製造業者の原材料費割合は平均で18.8%(TKC経営会=職業会計士による全国的組織資料から、豆腐・油揚製造黒字企業107社の値)となっている。原
材料には大豆、水、凝固剤(にがり、すましこ等)、包装関連資材等が含まれるので、原材料費用割合のうち水4%、凝固剤0.8%、包装資材等1%、大豆
13%とした。また、大豆60kg当たりについて、平均的な豆腐製造数675丁に、アイテム数の多い価格帯である150円を代表値として掛けると豆腐販売
高は約10万1千円となり、これを大豆購入費用格差8,000円で除すと約8%になる。この8%を大豆購入費用割合の幅とすれば、製造業者の大豆購入費用
割合(=大豆購入費用/豆腐販売高)は、原材料大豆の費用平均の13%を挟み、9%から17%の範囲にあると推計される。
- 2.の状況を踏まえ、豆腐販売高2万円(豆腐価格29.6円/丁)から16万円(同237.0円/丁)を範囲として、豆腐販売高と購入大豆価格の関係を描くと図2のようになり、●線と○線の間(両矢印の範囲)に大多数の豆腐製造業者が入る。また、調査事例の広島県製造業者Aは10.7%の大豆購入費用を持つと推計され★の線で示され、製造業者B(◆11.2%)、C(▲15.0%)も同様に示される。
成果の活用面・留意点
- 取引製造業者の豆腐販売高・価格が分かれば、当該大豆の経済的位置が推定できる。
- 図1は小売店の販売価格であり小売段階の平均マージンは約20%になる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:大豆加工品における地域内実需対応型マーケティング方策の解明
- 課題ID:06-01-06-*-14-03
- 予算区分:重点強化費
- 研究期間:2002~2005年度
- 研究担当者:高橋太一