露地野菜適作判定支援システム

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要約

5種の露地野菜を対象として、産地の作型事例と気象データに基づき、北海道から九州までの1kmメッシュ単位で、作型成立の可能性を判定し、適作物・適品種や栽培適地・適作期の選定を支援する情報を、インターネット上で任意の利用者に提示する。

  • キーワード:露地野菜、適作判定、支援システム、Webサービス、Webアプリケーション
  • 担当:近中四農研・総合研究部・情報システム研究室
  • 連絡先:電話084-923-5318、電子メールjones@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・情報研究
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

野菜生産の多様化に伴い、生産計画支援システムの構築が不可欠となっている。これを実現するには、導入適作物・適品種あるいは栽培適地・適作期の判定が不可欠で、多様な事例データを利用できる簡潔な問題解決の枠組みの構築が求められている。そこで、生産量が比較的多く、その変動が問題とされる露地野菜を対象として、営農指導員や生産者、家庭菜園を営む一般の方々などが広くインターネット上で利用できる適作判定支援システムを開発する。

成果の内容・特徴

  • 本システムは、キャベツ(44品種)、ハクサイ(34品種)、ダイコン(33品種)、タマネギ(23品種)、ホウレンソウ(21品種)について、作型事例データと気象データ(気温・日長)に基づき、北海道から九州までの1kmメッシュ単位で、作型成立の可能性を判定する。
  • 判定の種類は3種あり、利用者は作期(定植日または播種日)を指定して最大10品種までを同時に判定する適品種判定、指定された品種について1年の内どの時期が栽培に適しているかを判定する適作期判定、品種・作期を指定して検討地点を中心に11km四方のメッシュを1kmメッシュ単位で一度に判定する適作地判定を選択できる(図1左)。
  • 適作判定は、産地の作型事例と事例毎の気象データに基づいて品種毎に独自に作成したDVR生育モデルを用い、利用者が指定した検討地点における1980~2000年の日々の気象データに基づいて生育予測を行い、結果として作型が成立する年数を確率として提示する。その際、作期に対応する収穫予想日を参考として提示する(図1右)。
  • 適作判定モデルは、独立動作型のプログラムであり、個別のPC上で動作する。本システムは、この個別動作する適作判定モデルをXML Webサービス化することにより、インターネット上で利用できるようにしている。これにより、インターネットアクセス可能な任意の利用者が、ブラウザ上で作物や品種の選択、作期や検討地点の指定を対話的に行い、インターネットを介して適作判定モデルを使用し、判定結果を得ることができる。また、WebGISと連携動作して、利用者が検討地点を地図上で視覚的に指定したり、利用者に対して適作地判定結果を地図上にわかりやすく表示できる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 5種の露地野菜を作付けようとする産地の営農指導者、生産者等から家庭菜園を営む一般の方々など幅広い利用者に対して、作付計画作成時の参考情報として利用できる。
  • 野菜作型別生育ステージ総覧(農林水産省統計情報部)等の行政資料に基づく産地の作型事例を利用しているため、栽培管理法や出荷戦略に起因する判定誤差が生じる。この点を考慮した上で、提示される判定情報を参考情報として利用すること。
  • http://tekisaku.jp/ にて公開中。

具体的データ

図1 適作判定支援システムの画面例

 

図2 適作判定支援システムの構成とフロー

その他

  • 研究課題名:GIS統合による生産計画支援・供給推定モデルの開発
  • 課題ID:06-01-01-*-07-03
  • 予算区分:協調システム
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:吉田智一、高橋英博、大原源二(中央農研)
  • 発表論文等:1) 吉田ら(2003) 農業情報研究 12(1):13-24.