モバイルGISによる圃場作付状況確認システム
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要約
モバイルGISとGPS、遠方から判別できる識別記号を用いた確認票を組み合わせたシステムにより、車中から圃場の照合を容易に行うことができ、多数の圃場を対象とした作付状況の現地確認作業を効率的・省力的に実施できる。
- キーワード:モバイルGIS、GPS、生産調整、作付状況、現地確認
- 担当:近中四農研・総合研究部・情報システム研究室
- 連絡先:電話084-923-5318、電子メールtakahasi@affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・情報研究
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
水稲の生産調整に係る現地確認作業は、降雨や高温など気象条件の厳しい時期に、生産調整申請書の台帳を所持して歩いて行っており、多大な労力を要している。また、対象圃場数が多いので、地域の地理に詳しい人の案内を要することが多い。そこで、この確認作業を支援するため、タブレットPCやPDAで動作するモバイルGISをベースとして、圃場の照合が容易に行え、ペン操作で簡易に利用できる効率的・省力的なシステムを開発する。
成果の内容・特徴
- 圃場作付状況確認システムは、モバイルGISとGPSおよび確認票を利用して、圃場作付状況の確認作業を車中から行うことができる。
- モバイルGISは、GPSのデータから現在位置周辺の地図(圃場区画)を表示する。画面上で圃場区画を選択すると、対応する耕作者の作付申請データが表示され、簡易な操作で記録ができ、効率的に作付状況の確認作業が行える(図1、2)。
- 圃場を特定するための情報として、重複を許すことで単純化した識別記号を用いる。圃場に設置する確認票に、この識別記号を両面に大きく印字することで、遠方からの判別が可能となる。モバイルGISには、対象となる圃場区画上に識別記号をラベルとして表示させ、GPSによる現在位置から探索する範囲を限定することで、識別記号のみで迅速に圃場の照合ができる(図1、3)。
- 本システムは、GISソフトとしてESRI社のArcPADをベースに、作付申請データを表示するフォームの独自設計、地図表示や操作性を改善するための機能拡張等を行い、円滑な確認作業を可能としている(図1、2)。
- 本システムによる作業能率は、運転手とシステムのオペレータの2人1組で、1時間あたり約80筆、1週間で約2000筆(80筆×5時間×5日)であり、作業の効率化が図れる。また、確認作業を車中から行えるため、降雨や高温時における作業環境が改善される(表1)。
成果の活用面・留意点
- 生産調整の現地確認だけでなく、農地利用の現況調査に広く活用できる。
- GISで使用する地図データは、利用者側で用意する必要がある。圃場区画データと作付申請圃場の対応が取れるように、区画や地番の整合性を図る必要がある。
- 本システムは、PC(Windows)およびPDA(PocketPC)で利用できる。
- 本システムでは、圃場の取り違い等の作業ミスを減らすため、従来と同様に固有の情報を記載した確認票を設置する方式を採っているが、圃場に対する識別記号を用いない確認票を設置する方式や確認票を設置しない方式での利用も可能である。
- 圃場間を移動する時間の影響が大きいので、作業の効率化には経路設定が重要となる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:GPSとGISの融合による現地圃場確認システムの開発
- 課題ID:06-01-01-01-05-04
- 予算区分:高度化事業
- 研究期間:2002~2004年度
- 研究担当者:高橋英博、吉田智一、寺元郁博、大黒正道
- 発表論文等:1) 圃場作付け状況確認システム 特願2003-004147 特開2004-220149.