水稲「LGCソフト」の白米の可消化性蛋白質含有量は出穂期の窒素栄養状態に影響される

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要約

低グルテリン水稲品種「LGCソフト」の白米中の可消化性蛋白質含有量は、全蛋白質含有量が高まるにつれて増加する。出穂期の茎葉部窒素含有率を抑制する栽培管理が可消化性蛋白質含有量の低下に不可欠である。

  • キーワード:イネ、LGCソフト、可消化性蛋白質、全蛋白質、窒素含有率
  • 担当:近中四農研・作物開発部・栽培生理研究室
  • 連絡先:電話084-923-5351、電子メールyodaira@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・作物生産(夏作)、作物・稲
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近年、米粒中における可消化性蛋白質の割合を低下させた水稲品種が育成され、病態食としての利用が期待されている。中でも低グルテリン水稲品種「LGCソフト」(「ニホンマサリ」の突然変異系統から育成)は低アミロース性を備え良食味であり、普及拡大が見込まれている。「LGCソフト」を病態食として利用するためには、一般の食用米以上に可消化性蛋白質含有量を厳密に制御する必要があるが、その変動に関する栽培管理の影響は明らかでない。そこで、窒素施肥法や移植時期を変えて白米中の蛋白質組成や蛋白質含有量に対する影響を調査し、可消化性蛋白質含有量を低く維持させる栽培管理技術を確立するための知見とする。

成果の内容・特徴

  • 窒素施肥量を0~10gN/m2(追肥時期は分げつ盛期~幼穂形成期)、移植時期を5月13日と6月11日とした場合、「LGCソフト」の白米中の全蛋白質に占める可消化性蛋白質の割合は53%~58%の範囲内で変動する(図1)。一般の食用米品種である「ニホンマサリ」の可消化性蛋白質の割合は72%~76%であり、「LGCソフト」の変動幅は「ニホンマサリ」と同程度である。
  • 白米中の可消化性蛋白質の割合の変動による可消化性蛋白質含有量(=白米中の全蛋白質含有量×全蛋白質に占める可消化性蛋白質の割合)の変動幅(図2.a)は、栽培環境の違いによる可消化性蛋白質含有量の変動幅(図2.b)と比較して著しく小さい。
  • 白米の可消化性蛋白質含有量は全蛋白質含有量と密接に関係し、全蛋白質含有量が増加すると可消化性蛋白質含有量も増加する(図2)。
  • 出穂期の茎葉部窒素含有率および葉色値が高まると白米の可消化性蛋白質含有量は増加する(図3)。
  • したがって、「LGCソフト」の白米中の可消化性蛋白質含有量に大きく影響を及ぼすのは全蛋白質含有量であり、出穂期の茎葉部窒素含有率および葉色値を抑制する栽培管理が可消化性蛋白質含有量の低下に不可欠である。

成果の活用面・留意点

  • 「LGCソフト」の栽培管理マニュアルの作成に活用する。
  • 本成果は近畿中国四国農業研究センター水田圃場(広島県福山市、灰色低地土・砂壌土)で得られたものである。
  • 白米の搗精歩合は90%であり、その全蛋白質含有量は、燃焼法で測定した窒素含有率に米の蛋白質換算係数5.95を乗じた値である。また、蛋白質組成は電気泳動を行いデンシトメトリーによって得られた値である。

具体的データ

図1 窒素施肥量および移植時期が、白米中の全蛋白質に占める可消化性蛋白質の割合に及ぼす影響図2 LGCソフトの白米中の全蛋白質含有量と可消化性蛋白質含有量との関係

図3 LGCソフトの出穂期における茎葉部窒素含有率(A)および葉色値(B)と白米の可消化性蛋白質含有量との関係

その他

  • 研究課題名:温暖地向きの新形質米安定栽培技術の開発
  • 課題ID:06-03-06-01-05-04
  • 予算区分:ブラニチ5系
  • 研究期間:2003~2004年度
  • 研究担当者:大平陽一、竹田博之、佐々木良治
  • 発表論文等:1) 大平ら (2004) 日作紀 73(別1):22-23.
    2) Ohdaira et al. (2004) World Rice Research Conference Abstract:251.