親株の環境制御による高温期における無側枝性ギク摘心後萌芽の改善
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要約
無側枝性ギクの親株に対して、台刈りから採穂までの時期に、遮光・散水および送風など葉温を低下させる処理を行うと、高温期の摘心栽培における萌芽率を改善できる。この効果は腋芽形成率の低下する下限温度が20℃以上の品種に利用できる。
- キーワード:無側枝性ギク、腋芽形成、遮光、散水、送風、親株、葉温低下
- 担当:近中四農研・特産作物部・野菜花き研究室
- 連絡先:電話0877-63-8127、電子メールtenaka@affrc.go.jp
- 区分:近畿中国四国農業・花き
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近畿中国四国地域の輪ギク産地では、摘芽作業を省力化できる無側枝性ギクの導入が進みつつある。しかし高温期の摘心栽培では、摘心後に切り花となる分枝が十分に得られず減収するため、対策が求められている。そこで腋芽形成の条件と制御技術を検討し、適応できる作型および地域を拡大する。
成果の内容・特徴
- 春夏期に親株を台刈り(摘心)から採穂まで、30%遮光下で管理すると、日中(10~16時)の平均葉温は1℃程度低下する。この親株から得た苗を定植、摘心栽培した場合の萌芽率は「松本城」で27%まで向上する(図1)。
- 同様に15分間欠の細霧散水と送風処理を行うと、日中(10~16時)の平均葉温は4℃程度低下する。この親株から得た苗を定植、摘心栽培した場合の萌芽率は「松本城」で実用上問題のない程度(45%)まで向上する(図2)。
- これらの効果には品種間差が見られ、摘心から一定温度条件下で栽培した場合の腋芽形成率の低下と同様の傾向を示す。「松本城」の腋芽形成率は20℃では低下しないが、25℃以上では上位節ほど低下する。「東海クイン」では20℃においても、腋芽形成率が低下する(図3)。
- 7~10月咲き31品種を、腋芽形成率が低下する下限温度によって区分すると表1のとおりとなる。親株の環境制御による萌芽改善の効果は、感応温度が20℃以上の品種について実用可能である。
成果の活用面・留意点
- 挿し穂の徒長を避けるため遮光率は30%とし、散水時には送風処理を組み合わせる。
- 6~7月定植の10~12月咲き作型の無側枝性ギク栽培に適用でき、切下株を萌芽させる2度切り作型でも利用可能である。
- 「東海クイン」のように20℃でも感応する品種では、穂冷蔵や苗冷蔵(平成14年度成果情報)を組み合わせることが必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:無側枝性ギクの萌芽制御技術の開発
- 課題ID:06-04-02-*-11-04
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2003~2005年度
- 研究担当者:仲 照史、前田茂一、竹崎あかね、木下貴文、藤野雅丈