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牛肉において変色の遅い胸最長筋(リブロース)や腰最長筋(サーロイン)は抗酸化能が高く、変色の速い中殿筋(らんいち)や大腰筋(ヒレ)は抗酸化能が低い。この関係から筋肉部位による変色時期の違いは抗酸化能と関係があると考えられる。
牛肉の色調はミオグロビンという色素タンパクによって決定される。このミオグロビンのうち約30%以上が酸化されてメトミオグロビンに変化すると肉の褐色化が目に見えて分かり、商品価値が著しく低下する。メトミオグロビンへの酸化は筋肉部位や飼養条件など様々な要因によって速度が異なり、取引段階で肉色安定性を判断することは現時点では困難である。このため、日持ちがよいという付加価値は枝肉の格付け段階で評価されておらず、日持ちの良さが評価されるためには牛肉の肉色保持日数を予測する技術の開発が必要である。そこでビタミンEなどの抗酸化物質が変色を遅らせる効果があることから、牛肉の抗酸化能(抗酸化物質濃度)と肉色保持日数との関係について検討する。
近畿中国四国農業研究センターにおいて、と畜・解体した黒毛和種去勢肥育牛から半腱様筋(ST)、半膜様筋(SM)、中殿筋(GM)、胸最長筋(LT)、腰最長筋(LL)、大腰筋(PM)の6筋肉を採取した。抗酸化能測定用のサンプルは真空包装して-80℃で冷凍保存し、後日抗酸化能を測定する。またメトミオグロビン(metMb)割合測定用のサンプルは真空包装して冷蔵庫で熟成(と畜から7日間)したのち、冷蔵庫内蛍光灯下で展示し、6日目のmetMb割合を測定する。変色の遅いST、LT、LLは抗酸化能が高く、変色の速いSM、GM、PMは抗酸化能が低い(図1)。