血糖値の上昇抑制に効果のあるショウガ成分
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要約
ショウガ抽出物は脂肪細胞分化を促進し細胞のインスリン感受性を上昇させる。活性成分は主にショウガの辛み成分である6-ジンゲロールである。ショウガ抽出物を投与した糖尿病モデルマウスにおいては糖負荷後の血糖値の上昇が対照群と比べ有意に低下する。
- キーワード:
ショウガ、6-ジンゲロール、糖尿病モデル動物、血糖、脂肪細胞、分化
- 担当:近中四農研・特産作物部・成分利用研究室
- 連絡先:電話0877-63-8129、電子メールksekiya@affrc.go.jp、wenarc-seika@naro.affrc.go.jp
- 区分:近畿中国四国農業・食品流通
- 分類:科学・普及
背景・ねらい
糖尿病、高脂血症、高血圧、肥満などの生活習慣病は脂肪細胞の機能と大きな関連のあることが明らかにされ、実際、脂肪細胞の分化を
促進する化合物が新しいタイプの糖尿病治療薬として開発されている。そこで、この治療薬と同様な脂肪細胞分化促進作用を有する農作物を検索したところショ
ウガに活性を見出し、活性成分や動物試験についてさらに検討を加えることにする。
成果の内容・特徴
- 脂肪細胞分化に及ぼす作用は前駆脂肪細胞(3T3-L1)の培地にショウガサンプルを添加することで行う。脂肪細胞
への分化の指標としてグリセロール-3-リン酸脱水素酵素(GPDH)の活性を測定する。ショウガ抽出物は脂肪細胞分化促進活性を有している。抽出物を分
画したところ活性成分は主にショウガの辛み成分である6-ジンゲロールであり、類縁のショウガオールやジンゲロンも活性を有している(図1)。
- 6-ジンゲロールで処理した前駆脂肪細胞のインスリン感受性を調べるためにグルコースの取り込み量を測定する。すな
わち、インスリン感受性は最大活性を示すインスリン(1μM)を添加した時の取り込み量から添加しなかった時の取り込み量を差し引いた値で表す。6-ジン
ゲロール処理細胞において濃度依存的にインスリン感受性グルコース取り込み量が増加し、細胞のインスリン感受性が上昇する(図2)。
- ショウガの作用を動物試験により検証するためにショウガ抽出物(50mg/kg体重/日、19日間)を投与した糖尿病モデルマウス(KK-Ay)に糖負荷試験(グルコース
2g/kg体重)を行う。ショウガ抽出物投与群では60分後の血糖値が対照群と比べて有意に低下する(図3)。
成果の活用面・留意点
- 動物試験の結果よりショウガ抽出物は血糖上昇の抑制に効果が期待される。
- ヒトでの効果は別に検討する必要がある。
- 商品化に当たっては関係法令に基づいた手続が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:
脂肪細胞機能に及ぼす食品成分の影響
- 課題ID:
06-05-02-01-09-05
- 予算区分:
委託プロ(食品)
- 研究期間:
2002∼2005年度
- 研究担当者:
関谷敬三、阿部大吾、齋藤武
- 発表論文等:
Sekiya, K. et al.: Biofactors, 22, 153-156, (2004)
関谷敬三ら:特許出願(特願2003-305750、実施許諾及び商品化)