天頂方向からの画像処理で収穫後の小ギク切り花の開花程度は定量できる

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要約

小ギク切り花を天頂方向から撮影したデジタル画像から得られる、非緑色部(花および蕾)と緑色部(茎葉)の比によって開花程度は定量できる。この定量値は生産者の目視判断に一致するため、開花程度による選別の機械化に利用できる。

  • キーワード:キク、開花程度、切り前、機械化、画像処理
  • 担当:近中四農研・特産作物部・野菜花き研究室、香川県産業技術セ、香川県農試
  • 連絡先:電話0877-63-8127、電子メールwenarc-seika@naro.affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・花き推進部会、花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

収穫・選別作業は、小ギク生産の労働時間では約50%を占め省力化の余地が大きいが、開花程度(切り前)の確認に熟練を要するた め、機械化や雇用労力の利用が困難である。また一斉収穫の場合にも、開花の遅れた切り花を除く手作業は省力化のネックとなる。そこで、機械選別の基礎とな る客観的な開花程度(切り前)の定量手法について検討する。

成果の内容・特徴

  • 小ギク切り花を昼光色蛍光灯下で、背景を黒として天頂方向からCCDカメラによって撮影し、そのデジタル画像から背景除去後、非緑色部分(花および蕾)と緑色部分(茎葉)との画素数比を対数変換した値(以後,F/G値と記す)を指標とする(図1)。
  • 開花程度の目視区分とF/G値には強い直線性(R2=0.93∼0.95)があり、着色輪数割合や花径など個々の特性値では示せない開花程度を、花房型および花色にかかわらず、膜割れ前から満開までの広いステージで定量できる(図2)。
  • 生産者の切り前適期の判断は、F/G値を独立変数とするロジスティック回帰によって品種毎に有意(p<0.01)に推定できる(図3)。
  • このF/G値を基準とした判別システムをI社の重量式選花機の搬送機構に外付けし、実用速度(57.0本/分)で判別させると、目視判断に対し71∼100%の精度で選別できる。

成果の活用面・留意点

  • F/G値は一定温度、一定日長条件下での開花液(ショ糖2%+8HQS100ppmの混合水溶液)処理日数と強い正の相関(R2=0.88∼0.91)があり、出荷規格に満たない蕾の強制開花必要日数の推定にも利用できる。
  • この方法はアスター、輪ギクにも適用できるが、下位の花が葉で隠れるトルコギキョウには適用できない。
  • 画像処理は市販の画像処理ソフトウェアでも可能であるが、本成果では専用ソフトウェアを開発して定量した。

具体的データ

図1 非緑色部(花および蕾)と緑色部(茎葉)の比(F/G値)を基準とした画像処理結果の例(品種:やよい)

 

図2 開花程度の目視判断とF/G値の相関

 

図3 F/G値と「出荷最適期」および「出荷できる」とした回答比率の関係(品種「広島紅」)

 

その他

  • 研究課題名:一斉収穫した切り花の開花程度を機械選別する手法の開発
  • 課題ID:06-04-02-01-13-05
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2004∼2005年度
  • 研究担当者:仲 照史、濱田敏弘、松本由利子、竹﨑あかね、木下貴文、藤野雅丈
  • 発表論文等:切り花の開花程度判断方法及び開花程度判断装置(特願2005-241083)