培地乾燥に起因するトルコギキョウのロゼット化は種子冷水浸漬で抑制できる
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
トルコギキョウにおいて、種子冷水浸漬は、幼苗時の培地乾燥(水ストレス)によるロゼット化を抑制する。また、水ストレスによる生育抑制も、種子冷水浸漬で軽減できる。
- キーワード:トルコギキョウ、種子冷水浸漬、ロゼット化、培地乾燥、水ストレス
- 担当:農研機構・近中四農研・特産作物部・野菜花き研
- 連絡先:電話0877-63-8127、電子メールwenarc-seika@naro.affrc.go.jp
- 区分:近畿中国四国農業・花き、花き
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
トルコギキョウは、幼苗時に高温に遭遇するとロゼット化し、その後の生育が大幅に遅延する。このため、ロゼット化は生産安定上の大
きな問題となっている。その対策のひとつとして催芽種子の冷水浸漬処理(10℃の冷水に5週間浸漬)が有効であるという報告がある。一方、ロゼット化は高
温遭遇だけでなく、培地乾燥による水ストレスによっても引き起こされる。そこで、種子冷水浸漬が水ストレスに起因するロゼット化を抑制する効果を検証す
る。
成果の内容・特徴
- トルコギキョウの幼苗に、ポリエチレングリコール(PEG)添加による浸透圧調節で培養液に水ストレスを与えるとロゼット化が引き起こされる。しかし、種子を冷水浸漬すると、水ストレスによるロゼット化は抑制される(図1)。
- 幼苗に、かん水制限による培地乾燥で水ストレスを与えた場合も、ロゼット化が引き起こされる。種子を冷水浸漬すると、強度の培地乾燥状態(かん水点、培地含水率63%(pF2.2))でも、ロゼット株率は23%と低く、水ストレスによるロゼット化は抑制される(図2)。
- 種子冷水浸漬した苗が、強度の培地乾燥状態に遭遇すると、節間伸長しても高所ロゼット化する株が認められるが、48%の株は発蕾する(図2)。
- 浸透圧調節および培地乾燥による水ストレスは、その強度に応じてトルコギキョウの生育を抑制し、花芽分化節位を高くする。しかし、種子の冷水浸漬により、水ストレスによる生育抑制が軽減される(表1)。
成果の活用面・留意点
- 種子冷水浸漬した苗においても、ロゼット化を抑制するためには、定植後活着までの期間に強度の水ストレスを与えない栽培管理が必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:トルコギキョウの種子冷水浸漬によるロゼット化防止技術の開発
- 課題ID:06-04-02-*-12-05
- 予算区分:高度化事業
- 研究期間:2004∼2006年度
- 研究担当者:竹﨑あかね、仲 照史、木下貴文、藤野雅丈