モノレール対応クローラ運搬車

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要約

モノレール走行とクローラ走行が可能な運搬車である。既設レールへの乗り入れは、連結レールを既設レールに接続することでスムーズに行うことができ、モノレール走行では、傾斜35°、曲率3mのレール上の走行が可能である。

  • キーワード:モノレール、運搬車、野菜、連結レール
  • 担当:近中四農研・傾斜地基盤部・機械施設研究室
  • 連絡先:電話0877-63-8122、電子メールwenarc-seika@naro.affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・作業技術、共通基盤・総合研究、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

傾斜畑地域では、高品質な野菜の栽培に適するにもかかわらず、圃場への進入路が整備されていないことが多く、地形的に新たな進入路 を造成することが容易でなく機械化が困難であり、耕作放棄地の増加の要因となっている。また、生産物や生産資材等の搬送にモノレールが導入されている地域 もあるが、圃場内の搬送では、人力による運搬に頼らざるを得ない。そこで、アクセスが困難な圃場へ容易に進入できる、モノレールと圃場の走行が可能な新た な搬送技術の開発を行う。

成果の内容・特徴

  • 本機は、急傾斜や障害物がある農道-圃場間、圃場-圃場間では安全・安定走行が可能なモノレール走行を行い、圃場内は傾斜地適性の高いクローラ走行が行えるモノレール対応のクローラ運搬車(以下、MC運搬車)である(図1)。
  • 機関出力は6.3kW 、質量は373kgで、最大積載量は200kgである。クローラの中心にピニオンラックを備えている。駆動方式は全油圧駆動であり、クローラ単独駆動、ピニオンラック単独駆動、クローラとピニオンラック双方駆動の切り替えが可能である(表1)。
  • 既設レールへの乗り入れは、あらかじめ短い連結用レールをMC運搬車に装着しておく。また、既設レールと連結レールの位置合わせが行えるようにピットを既設レール進入部に設置しておく。既設レールに近づくと、クローラを停止し、連結レールをピニオンラック駆動により既設レールと連結させ、クローラとピニオンラック双方で走行することで、乗り入れをスムーズに行うことができる(図2)。また、レールの終端部に連結レールを連結しておけば、既設レールから離脱が可能である。
  • モノレール走行では、傾斜35°、曲率3mのレール上の走行が可能である。また、レール走行では、ほぼ0.5∼0.85m/sの速度範囲で走行可能である。(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 傾斜畑地域における、進入路が造成できないアクセス困難な圃場での搬送技術の要素として活用できる。
  • 適用レールは、肉厚3.2mm、耐荷重600kgのピニオンラック式レールである。
  • 連結レールの可動方向が機体進行方向の前後のみであるため、既設レールの延長線上に連結レールを配する必要がある。

具体的データ

図1 モノレール対応クローラ運搬車

 

図2 連結レールを用いた既設レールへの乗入れ

 

表1 MC運搬車の主要諸元

 

図3 レール走行時の傾斜度による速度の増減

 

その他

  • 研究課題名:傾斜地作物生産に適した軽労化搬送技術の開発
    -高度差を活用した搬送技術等軽労化作業技術の開発
  • 課題ID:06-02-05-01-09-05
  • 予算区分:傾斜地特性野菜
  • 研究期間:2002∼2005年度
  • 研究担当者:中元陽一、大黒正道、田中宏明、畔栁武司、角川 修、猪之奥康治