中山間地域における「サチユタカ」の麦跡不耕起密条播種による晩播栽培

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要約

麦跡不耕起密条播種法は、麦作の明渠を利用し、条間30cmの不耕起播種を行うことで梅雨期に苗立ちを確保する無中耕・無培土の栽培法である。中山間地域で「サチユタカ」を7月上旬の晩播で苗立ち数を平方メートル当たり18本以上確保した場合、全刈収量は約260kg/10aとなる。

  • キーワード:ダイズ、サチユタカ、不耕起播種機、密条、無中耕、無培土
  • 担当:近中四農研・作物開発部・機械作業研究室、企画調整部・近畿中国四国大豆研究チーム
  • 連絡先:電話084-923-4100、電子メールwenarc-seika@naro.affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・作物生産(夏作)、近畿中国四国農業・作業技術、作物・夏畑作物
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

梅雨期に重なる頻度が高い温暖地西部の中山間地域における麦作後の大豆播種作業を安定して行える不耕起密条播種機の開発を軸に、湿 害対策、肥培管理技術を確立し、収量の高位安定化とともに特に実需に対して大きな問題となっている大豆品質の向上、安定化技術を現地圃場で実証する。

成果の内容・特徴

  • 麦跡不耕起密条栽培播種法は、麦桿の処理をせず、また湿害(排水)対策のために麦作の明渠を残したまま、条間30cmの不耕起密条播種作業を行うことで、気象・圃場条件の変わりやすい梅雨期に苗立ちを確保し、中耕・培土作業を省略する栽培法である。本栽培法の実証試験を行った現地の概況及び耕種概要を表1に示す。
  • 7月上旬の晩播栽培では、苗立ち数を18本/m²以上確保することを目標とする。この現地試験では、苗立ち率70%以上の場合、播種量は8kg/10a程度である(表2)。
  • 標高250m∼360mの中山間地域で、7月上旬に「サチユタカ」を晩播した場合、全刈収量は、年によっては300kg/10a前後に達する6月下旬播種の標播と比較してやや減少するが、安定して約260kg/10aを期待できる。(表3)。
  • 晩播栽培は、標播と比較して収穫等に支障が生じると思われる倒伏角60度以上となる本数の割合が軽減される(表2)。
  • 晩播栽培は、標播より播種日が12∼14日遅くても、成熟期・収穫期はほぼ同時期となり、外観品質も同程度である(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 本栽培法を耕起・広畦等の慣行作と使い分けることにより、幅広い播種時期、圃場条件に対応できる。
  • 平坦地でも適用可能な技術である。
  • 排水対策用の明渠の間隔は、圃場の排水性、収穫機及び播種機・乗用管理機等の作業幅を考慮にいれ決定する。
  • 供試不耕起播種機は近中四農研式不耕起密条播種機(平成14年度成果情報:近中四農研)を使用した。

具体的データ

表1 試験地概況及び耕種概要

 

表2 播種条件と苗立ち及び倒伏角度60度以上の本数割合

 

表3 生育状況と収量・品質

 

その他

  • 研究課題名:大豆新栽培システムの体系化
  • 課題ID:06-03-07-01-08-05
  • 予算区分:交付金(大豆300A)
  • 研究期間:002∼2005年度
  • 研究担当者:窪田 潤、竹田博之、石田茂樹、岡部昭典、亀井雅浩、奥野林太郎