ホウレンソウのアスコルビン酸含量は遮光除去後2日程度で回復する
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
高温期の遮光により減少したホウレンソウのアスコルビン酸含量は遮光資材の除去後2日程度で無遮光と同レベルまで回復する。この回復は水分含有率の低下による濃縮と強光条件への変更に伴うアスコルビン酸の増加の両者によるものである。
- キーワード:ホウレンソウ、アスコルビン酸、遮光
- 担当:近中四農研・野菜部・野菜栽培研究室、畑土壌管理研究室
- 連絡先:電話0773-42-0109、電子メールwenarc-seika@naro.affrc.go.jp
- 区分:近畿中国四国農業・野菜、野菜茶業・野菜栽培生理
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
ホウレンソウは、夏の高温期には生育確保のために寒高冷地を除き遮光栽培されることが多いが、遮光はアスコルビン酸含量を減少させ
る。アスコルビン酸含量は、収穫前の遮光資材の除去により、無遮光の場合と同程度となることが知られている。高温期のホウレンソウのアスコルビン酸含量を
高い水準とするために、適切な遮光除去時期の検討が必要である。遮光除去から収穫までに必要な期間と遮光除去後のアスコルビン酸含量の増加要因を明らかに
する。
成果の内容・特徴
- 雨よけで遮光条件下(遮光率60%)で栽培したホウレンソウのアスコルビン酸含量は遮光除去後20∼40%増加し、除去後2日程度で生育期間を通じて無遮光で栽培したものと同程度の値となる(図1)。
- 遮光除去後、ホウレンソウ植物体の乾物率の上昇(水分含有率の低下)があり(図2)、水分含有率の低下による濃縮効果がアスコルビン酸含量増加の要因の1つである。しかし、濃縮だけで遮光除去後の増加が全て説明できるわけではなく、遮光除去後、乾物換算でのアスコルビン酸含量の増加がある(図3)。
- 人工気象室内で光強度を弱光から強光に変更することにより、1日でアスコルビン酸含量は15%程度増加し、乾物当たりでも増加する(図4)。ホウレンソウは光条件の変更に1日程度で反応し、アスコルビン酸が増加する。
成果の活用面・留意点
- 雨よけ栽培で遮光除去後2日程度でアスコルビン酸含量が回復するのは、晴天が続いた場合である。
- 遮光除去2日後では葉色や日持ちの点から市場性に問題があり、これらの向上のためにはさらに数日間の順化期間が必要である。
- アスコルビン酸含量は小型反射式光度計を用いて測定したものである。
具体的データ




その他
- 研究課題名:ホウレンソウ等の抗酸化活性の変動要因の解明と制御技術の開発-野菜栽培
- 課題ID:06-06-01-*-06-05
- 予算区分:ブラニチ6系
- 研究期間:2003∼2005年度
- 研究担当者:吉田祐子、福永亜矢子、熊倉裕史、藤原隆広