カラタチを台木にしたカンキツ樹の主幹基部体積含水率は他の台木より高い
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
普通系カラタチを台木にしたカンキツ樹の主幹基部の体積含水率は、シイクワシャーやユズ、「ヒリュウ」を台木にした樹より高い。
- キーワード:カンキツ、カラタチ、ヒリュウ、台木、枝体積含水率、水分動態
- 担当:近中四農研・特産作物部・果樹研究室
- 連絡先:電話0877-63-8128、電子メールwenarc-seika@naro.affrc.go.jp
- 区分:近畿中国四国農業・果樹
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
一般に台木に穂木を接いだ苗を植える果樹では、台木と穂木の間の養水分の通導性が穂木や果実の成育に影響を与える。そこで、台木品種の異なるカンキツ樹の穂木主幹基部と台木根幹部の体積含水率を携帯型TDR(Time
Domain Reflectometry)水分計で計測し、台木品種が穂木の体積含水率に与える影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 水田転換平坦園に栽培した台木品種の異なる9年生「はるみ」、10年生「天草」、19年生「青島温州」の穂木主幹基部と台木根幹部にセンサー用のロッドとしてステンレス製の釘を打ち、携帯型TDR水分計(藤原製作所F35-7250、ロッド長10cm)のロッドを釘に接触させて計測する。予め作成した検量線を用いて、計測値から体積含水率を算出する。
- 普通系カラタチを台木にした「はるみ」の主幹基部体積含水率は、3月から12月の間、台木よりやや高いが、シイクワシャーを台木にした樹では台木より1∼2%、ユズを台木にした樹では台木より2∼3%低い(図1)。
- 普通系カラタチを台木にした「はるみ」の主幹基部体積含水率は、3月から12月の間、シイクワシャーを台木にした樹より1.5∼3.9%、ユズを台木にした樹より0.5∼1.0%高い(表1)。
- 普通系カラタチを台木にした「天草」の主幹基部体積含水率は、シイクワシャーや「ヒリュウ」を台木にした樹より高いか同程度である(表2)。
- 「ヒリュウ」を台木にした「青島温州」の主幹基部体積含水率は、9月から12月に他のカラタチ系統を台木にした樹と同程度か低い(表3)。
成果の活用面・留意点
- TDR水分計による穂木の体積含水率の計測により、園地条件や穂木品種に適した成育をする台木を選抜することが期待できる。
- 今回、主幹の体積含水率を測定した方法は、苗木のような細い枝の計測には使えないため、TDR水分計を使って細い枝の体積含水率を計測する方法を開発する必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:台木の違いによる樹勢制御と品質との関連性
- 課題ID:06-04-01-01-05-05
- 予算区分:交付金
- 研究期間:001∼2005年度
- 研究担当者:平岡潔志、瀧下文孝、村松 昇、内田 誠
- 発表論文等:平岡ら(2005)土肥誌76(5):641-644