エリオジクチオール及びその配糖体のアラキドン酸代謝系リポキシゲナーゼ阻害効果
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要約
エリオジクチオールに加えて、カンキツ果実に含まれるエリオシトリン、ネオエリオシトリン等のエリオジクチオール配糖体は、アレルギーや動脈硬化に関与する血小板12-リポキシゲナーゼ及び白血球5-リポキシゲナーゼの阻害効果をもつ。
- キーワード:エリオシトリン、ネオエリオシトリン、エリオジクチオール、カンキツ、レモン、リポキシゲナーゼ、アラキドン酸代謝系
- 担当:近中四農研・作物開発部・品質特性研究室
- 連絡先:電話084-923-4100、電子メールwenarc-seika@naro.affrc.go.jp
- 区分:近畿中国四国農業・食品流通
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
アラキドン酸代謝系の12-リポキシゲナーゼ(12-LOX)及び5-リポキシゲナーゼ(5-LOX)による代謝物は、白血球の凝
集・遊走、血管平滑筋の遊走、血管透過性促進、血管収縮等のアレルギー性疾患や動脈硬化に繋がる作用を誘発する。これまでにLOX阻害成分としてフラボン
類やクマリン類等の天然物が報告されている。カンキツ果実は多様なフラボノイド成分を含有するので、LOXの阻害成分を含有する可能性がある。そこで、カ
ンキツ果実にLOX阻害成分を見出し、新たな付加価値を付与することを狙いとする。
成果の内容・特徴
- シトロン区のルミー果実果皮からラット血小板12-LOX阻害活性を指標にして単離、構造決定された成分は、エリオジクチオール配糖体のエリオシトリンである(図1)。
- カンキツ果実に含まれるエリオシトリン及びネオエリオシトリンは、5-及び12-LOXの阻害活性をもち、そのアグリコンであるエリオジクチオールは、両方の酵素に対して極めて強力な阻害活性を保有する(図1及び表1)。
- エリオシトリンはライム区のタヒチライム、シトロン区のユーレカレモン及びルミー、ユズ区のスダチ、ミカン区のコウジ等の果実に多く含まれる(表2)。これらのうち、市場流通果実であるユーレカレモン及びスダチは阻害成分の有効な供給源である。
- ネオエリオシトリンは、ライム区のベルガモット、ザボン区のキヌカワ、ダイダイ区のサワーオレンジ、ユズ区のスダチ、ミカン区のサンキツ等の果実に多く含まれる(表2)。これらのうち、市場流通果実であるサワーオレンジ及びスダチは阻害成分の有効な供給源である。
成果の活用面・留意点
- エリオシトリンは消化・吸収後、エリオジクチオール、ホモエリオジクチオール、ヘスペレチン等に変換され、グルクロン酸との抱合体として血漿中に存在する。炎症反応の局部において、グルクロン酸の脱離が起き、エリオジクチオールが阻害効果を発揮する可能性が指摘されている。
具体的データ



その他
- 研究課題名:機能性成分高含有ポンカン加工品の開発
- 課題ID:06-03-08-(01)-*-04
- 予算区分:新需要創出
- 研究期間:1998∼2000年度
- 研究担当者:野方洋一、中村善行、関谷敬三
- 発表論文等:
Nogata et al.、2006、Journal of the Science of Food and
Agriculture、accepted
野方、2005、近畿中国四国農業研究センター研究報告、5、19-84
野方、2002、食品工業、45(18)、27-34